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afterコロナの就活の変化!?求められる力が変わる「営業職」と面接での「評価軸」

  2020.06.29

afterコロナの就活

「貴重な4年間を“就活対策”で、消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白"

今回インタビューさせていただいた日産自動車販売は、日産自動車の完全子会社として全国に展開されている企業です。

今回は、その中でも“営業職”での新卒採用について伺いました。一口に“営業”と言っても、扱う商材、顧客、売り方、取り巻く環境、など様々な違いがあります。

また、afterコロナによって職種の求められることも変化する中で、どのような観点で面接の評価をしているのか、そのリアルも語っていただきました。

時代が変化しても社会で活躍していくためのヒントが詰まっていますので、ぜひこれからの参考に!

会社プロフィール:弊社は日産自動車(メーカー)100%出資の子会社で、全国の日産の販売会社のうち、最大規模の販売台数を誇ります。(年間約50千台)総従業員は約850名で、リース会社様等法人を中心に車を販売しており、お客様には各官庁様や大使館様もいらっしゃいます。もちろん個人のお客様への販売もしており、店舗は東京8区内に位置しています。弊社は一般の自動車販売会社と異なりBtoBとBtoCどちらも経験することができます。
面接官 兼松 邦明:1973年11月13年生まれ。46歳。関西学院大学大学院商学研究科修了。新卒で都市銀行入行後日産自動車㈱に転職し現在に至る。ファイナンス、M&A分野を歩み現在は管理本部担当役員。

面接官 宗像 里沙:2014年に大学卒業後、新卒でアパレル企業に就職。約4年間接客業務を担当した後、キャラクターグッズ企業で人事業務の経験を経て、日産自動車販売㈱に転職。現在は主に新卒採用を担当。

変化する採用基準

Q. 就活の仕組みも変化する中、どんなことに拘って新卒採用の活動を進めていますか?

適性採用ではなく、ポテンシャル重視の採用に拘りを持っています。「自動車を売る」という適性より、「今後の成長可能性(ポテンシャル)」をみて評価しているということです。

つまり、「自動車販売に向いているか」という採用基準ではなく「将来何ができるか、できそうか」という基準です。自動車が好きか、自動車に興味があるかといったことは関係ありません。

ポテンシャルを重視している理由は、自動車販売の世界が今後大きく変化していくからです。

 

変化する業界

Q. 現状、どのような変化がありますか?

大きく、2つの変化があります。

1つは、“売り方の変化”です。自動車販売事業は、通販、ネット販売が全盛の現在でも、オールドファッションな店頭販売を貫いていますが、それもいずれ限界がきます。

コロナの影響もあって、お客様のマインドセットが「店頭ではなく、家で物を買わなければ!」という風になってきています。企業ではなくお客様の考え方が変わってきているということは、ビジネスモデルの転換を加速させる大きな要素です。

お客様にお店に来て頂き、商談をし、お買い上げいただくといった今までの売り方に長けている人が今後も活躍できるかというと、そうではない可能性が高いんです。

—ビジネスモデルの限界とういうことですね…

2つ目は、“自動車の変化”です。電動化、自動化が進むと自分で運転する必要がないですから、例えば、車が移動する事務所になるかもしれません。バスやタクシーといった公共交通機関も不要になるかもしれません。いままでの車の用途を大きく変える可能性があります。そういった将来に対し、過去の単一の車に対する考え方しかもっていないと、お客様に新しい価値を提供することはできません。

カーシェアリングも、現在は“置く場所”がないため伸びていませんが、自動化が進めば、自動運転で郊外へ移動して駐車しておくということが可能になり、シェアリングのハードルがぐっとさがります。どこで車を降りても車が勝手に車庫に帰ってくれるからです。買うよりずっとコストも下がりますし、お客様はもしかすると車を買わなくなってしまうかもしれない。すると車を販売する相手は個人様より法人様が主体になるかもしれませんね。

結局現在の自動車販売の適性を見て採用しても、概ね陳腐化してしまう可能性が高いんです。
これは自動車販売業に限ったことではないと思いますが、今後の予想はできるけれど、確証は持てない中では、「ポテンシャル」を持っている人を採用したいと思っています。

 

ポテンシャルの高い人材とは

Q. ポテンシャルを持った人材の特徴を教えて下さい。

コミュニケーション能力論理性ストレス耐性好奇心突破力をもった人を採用したいと思っています。

コミュニケーション能力といっても、ただ単に「人と話すこと」というわけではなく、「議論しながら自分の考えを伝える」という力を持っている人です。自分の立場をしっかり主張できるということは、問題の環境をしっかり把握し、自分の考えをまとめて、相手が納得するようコミュニケーションできると同時に、自分の意見の強み弱みを理解していることにほかなりません。

また対面でなくても、自分の意見を論理的に伝え、議論をリードできる人も必要になってきます。Web環境でコミュニケーションする場合、相手の表情などを捉えにくいですからよりわかりやすく、論点を明確にコミュニケーションする能力が求められます。


ご自身の考えや主張の論理性をみせていただくために今年から、採用の場面で履歴書、エントリーシート(ES)提出後の一般常識テストをやめて、エッセイを書いてもらうようにしています。文章を書いてもらうと、論点を明確に整理しているか、それに対し自分がどういう意見を持っているかといったことがよくわかります。

といっても何も難しくありません。自分の思うことを自分の考えどおりに書けばいいんです。変に文章を飾ろうとするとかえって文章がまとまらないですからね。(笑)

 

ESでの評価はしない?

Q. 履歴書やES、エッセイがあるとのことですが、どのような軸で評価をしていますか?

「一貫性」があるかどうかをみています。

履歴書やESは、そもそも正解がないものなんですが、提出されたものを見てみると答案用紙みたいなものが多いんです。その人の特徴がよくわからないものがほとんどです。

エッセイの題目はご自身の考え方を聞くものがほとんどです。「そこに書いてあることからみえる皆さんの考え方、人柄」と「面接で話している内容やその人の印象」が合致しているかを評価のポイントにしています。

Q. エッセイは具体的にどんなことをきいていますか?

今きいているのは「社会人との学生の違いとは?」です。

あえてこの質問をしている理由は、多くの人がほぼ同じ回答をするからです。ほとんどの人が「お金をもらうから責任が重くなる」と回答します。
では、「責任が重くなるってどういうこと?」ときくと、そこで詰まる人が多いんです。その中に、自分のことばで語り出す学生がいます。

Q. 特に評価した学生の例を教えてください。

印象的だった学生の回答は、

「失敗したときの責任」という視点で話してくれた方の話が印象的です。

「私は必ずしも失敗を悪いものとして評価しません。社会の中では、失敗するような仕事にこそ付加価値がつくと思います。失敗しない仕事は結局は誰でもできる仕事です。会社は新しい価値を生み出すことで成長します。失敗に対する責任とは、その失敗を振り返り、何がまずかったのかを分析し、次を成功させることだと思います」

というものでした。

「社会や会社に貢献する」ということを、しっかり自分の言葉で紡ぎだしていたこの学生はとても印象に残っています。

 

面接での“一貫性”とは?

Q.「ガクチカ」については、御社ではどのようなポイントを注力して評価していますか?

ガクチカでも、「一貫性」「動機」 がポイントになります。自己PRを論証しているのが、ガクチカです。内容は、部活動でもサークルでも、その成功談、失敗談でもなんでもいいんです。

人生20年は面接20分の中ではわからないと思うんですね。だから、自己PRしたことが本当にやってきたのかどうなのか、「なぜ?」と問うことで「一貫性」があるかどうかみています。

普段から、「なぜ?」という問いを自分にかけられているといいですよね。それができていると面接も怖くないと思います。そうして、ありのままの自分を伝えて受かった会社にいくとハッピーなんだと思います。

Q. 具体的に、過去どのような学生の経験を評価したのですか?

いい例かどうかよく分からないんですけど・・・「無駄な努力が嫌いだから、何も力を入れていませんでした。」という衝撃的な就活生がいました。(笑)

「なんで?」ときいたら、「最小限の労力で目的を達成していくということが自分のモットーだからです。」と話してくれました。

「どのように?」ときくと「事前に調査、準備、計画をしています。」とのことでした。

その就活生の試験の成績は、“優”よりも“可”が多かったんですが、「なんで?」ときくと、「大学で良い点をとることに魅力は感じません。誰かと競っているわけではないので、欲しい知識を得ることができれば、試験の点が高くなくたっていいと思っています。」と言いました。

これは「一貫性」がありますよね。自分の物差しがあって、そのことを堂々と語れるこの学生は、筋が通っていて十分採用に値するなと思いました。

 

ハタチ世代に伝えたいこと

Q. 就活前の大学1、2年生のうちにやっておくべきことはありますか?

「借金してでもいいから海外旅行に行け!」ということです。

海外の人と仕事をした経験が多いのですが、どんな人が世の中にいるのかを学生時代にみておいてほしいなと思います。グローバル化やテレワーク化が進む中で、そう遠くない未来に、職場に外国人がいるということは当たり前になります。

私自身の経験ですが、海外出身の社会人1年目の新人に「日本人にばかりにいい仕事をさせている。」と言われたことがありました。

欧米や中国の人は、自分のスキルを高めるほうに頭がいきます。だから、困難でもレベルの高い仕事、自分の能力を高める仕事をしたいと強く思っています。将来そういうメンタリティーを持っている人たちと戦わなければいけなくなります。

「どんな人と競争するのか」「海外の人の考え方ってなんだろう?」ということは自分の意識を高めるために極めて重要だと思います。

就活でのアドバイスでいうと、「視野を広げて受ける」ということをおすすめします。

業界によっては特殊能力が必要になることもあるけれど、ベースに求められるものは変わらないんです。様々な業界、職種の話をきくだけでも勉強になります。

オファー型の就活も増えている中で、受ける会社も少なくなっている傾向にありますし、就活が本格化すると、「内定」を前に視野が狭くなりがちになります。

ぜひ、大学1,2年生のうちにまず、「視野を広げる」ということをやってみてほしいなと思います。

 

編集後記

afterコロナの就活においての変化について、みなさんはどのようなことを感じましたか?

本インタビューを通じて、事業のリアルな変化というものを感じました。コロナによって、職種における役割が変化すれば、当然、求められるスタンスやスキルも変化していきます。

自分分らしいキャリアを歩むために、後悔しない就活にするために「“理想の職種”が数年後も存在するのか?」 「その職種に求められることに変化は何か?」自分の外にアンテナを張ることが、afterコロナの就活においてはより必要になるかもしれません・・・