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『さよなら就活対策』
「貴重な大学生活を“就活対策”で消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す“面接官の告白”。
今回インタビューしたのは、京王電鉄株式会社の人事である竹村さん。京王電鉄株式会社は、新宿を起点とする「京王線」と、渋谷を起点とする「井の頭線」をベースに、多角的な事業展開を通じて人々の暮らしを支えている企業です。
「鉄道」や「まちづくり」などの幅広い事業領域がある中で、どのように採用活動を行っているのでしょうか?こだわりのポイントや求める人物像について、詳しくお伺いしました。
初期配属のミスマッチを防ぐ!コース別の新卒採用
Q. 京王電鉄の採用活動のこだわりを教えてください。
私たちが大事にしているのは、「興味のある事業からキャリアをスタートしてもらう」という点です。
2024年度から、総合職の新卒採用を「総合コース」「不動産・まちづくりコース」「鉄道土木・建築コース」「鉄道電気・車両コース」の4つのコースに分けています。
学生の皆さんには、興味のあるコースに応募してもらい、そのコースに関連する部署やグループ会社への“初期配属を確約する”という仕組みにしています。
Q. なぜそのような方法をとられているのでしょうか?
みなさんの社会人としての最初のキャリアを興味ある事業からスタートしてほしいという想いからです。日々学生と接する中で、就活に対する皆さんの真剣さをひしひしと感じていて、キャリア志向や、やりたい仕事が明確な方も多い印象です。
「この仕事がやりたい!」と熱意を持って応募してくださるからこそ、初期配属でのミスマッチをできる限り防ぎ、皆さんが描くキャリアビジョンにつながる職場でファーストキャリアをスタートしてもらいたいと考えています。
配属の確約はあくまで初期配属のみで、その後は配属先で獲得した専門的スキルを軸としたキャリアステップを前提としていきます。一方で業務を通じて複数のスキルを獲得していく場合等は活躍する領域を広げていくことが出来る点も京王電鉄で働く面白みの一つです。
また、京王電鉄では自律的なキャリア形成を支援するさまざまなキャリア支援施策を用意しています。公募で異動のチャンスが得られる「キャリアチャレンジ制度」や、1on1の面談、他部署の業務を体験できる「社内インターン制度」などです。入社後はこのような機会も活用しながら、自身のキャリアを考えてもらえたらと思います。
Q. ほかにこだわっているポイントはありますか?
面接では、本音で話せるフラットな関係性の構築を大切にしています。
面接に向けて準備してきた内容もあると思いますが、それを完璧に話すことよりも、ありのままのみなさんと対話できたら嬉しいですね。
他社の選考状況などを聞くこともありますが、プレッシャーをかける意図は全くありません。皆さんが納得して決め切るまで、就活のサポートをしたいという思いで接しています。
もちろん最終的に京王電鉄を選んでもらえたら嬉しいですが、面接官も皆さんが自身の進路を納得した形で決めてほしいと思っていますので、そういう意味では面接官に気を遣っていただく必要は一切ないですね!
選考フローと評価ポイント
重視するのは「協調性」
Q. 選考フローと評価ポイントを教えてください。
どのコースも選考フローは同様で、エントリーシート→適性検査→グループディスカッション→個人面接→最終面接という流れで進める場合が多いです。
私たちの事業は鉄道をはじめとして地域に対してアプローチする事業が多いことから、お客さまとの距離が近いのが特徴です。また、チームで働くことも多いので、「協調性があるか」「一緒に働きたいか」といった点を特に見ています。
たとえばグループディスカッションでは、「ただ発言数が多ければいい」というわけではありません。人の話を傾聴し、対話しやすい雰囲気づくりをしながら、限られた時間の中でより良いゴールをめざす。そういう姿勢で取り組んでもらえるといいなと思います。
挑戦する気概を持った人財、求む!
一方で、近年は新規事業や、各事業の専門性を深める取り組みなども積極的に行っており、求める人物像として「時代の変化に対応するため、これまでの常識にとらわれずに発想し、何事にも果敢に取り組み最後までやり遂げようとする、挑戦する気概を持った人財」と掲げています。
そのため面接では、これまでに努力した経験や、どのように考えて行動したのかなどを聞くことが多いです。
Q. 挑戦の「ハードルが高い」ことが重要なのでしょうか?
もちろん高いハードルに対するチャレンジは魅力的ではありますが、聞きたい部分は挑戦の難易度ではありません。
たとえば私生活における目標や趣味など、何でも大丈夫です。大切なことは自分で設定した目標に対して、どのように取り組んだのかということでありその点を話していただけたらと思います。
自分の言葉で「やりたいこと」「感じたこと」を話してほしい
Q. 面接で「志望動機」は聞きますか?
必ずしも「志望動機」をストレートに聞くわけではありませんが、「京王電鉄で何がしたいのか」は聞くことが多いですね。幅広い事業がありますし、ひとつの採用コースの中にもさまざまな仕事がありますので。どの事業に興味があるのか、京王電鉄のどの部分に惹かれたのかなどを、ご自身の言葉で話してもらえると嬉しいです。
以前お話しした学生さんは、実際に京王沿線に足を運んで感じたことを話してくれました。必ずしも京王沿線に縁がある必要はなく、遠方者の中には外から見る京王電鉄の良さやポテンシャルのお話をしてくださる方もいらっしゃいます。
「商品」という言い方が適切か分かりませんが、扱うものを実際に目や肌で感じられる業界なので、沿線見学や街あるきは、ぜひやってみてもらいたいですね。
大切なのは「やりたいこと」と事業のフィット
Q. テーマ・カルチャー・スキルの3つのフィットのうち何を大切にしていますか?
一番大切なのは「テーマ」ですかね。
京王グループ理念の中に「幸せな暮らしの実現」というキーワードがあり、京王沿線に住むお客さまや、街を訪れる方々の「幸せな暮らし」を目指してサービスを提供しているということは、前提として理解してほしいです。
そのうえで、「どの事業に興味があるのか」「京王電鉄で何がしたいのか」というのがやっぱり大事だと思います。
Q. 鉄道会社によって、カルチャーに違いがありますか?
大きく見れば似ていると思いますが、もちろん各社にカラーはあります。京王電鉄は、学生さんからも「穏やかな社員が多い」と言われることが多いです。
ただ、近年は各事業での専門性の深化や新規事業への取り組みを積極的に行っていることから多様な個性を求めています。
若手のうちから挑戦できるフィールドがありますので、皆さんと未来の京王電鉄を創り上げていくことを楽しみにしています。
ハタチ世代へのメッセージ
Q.最後に、学生に向けて大学生活のアドバイスをお願いします。
大学生活において、はじめから就活を意識して準備する必要は全くありません。それよりも、まずは自分が楽しいと思えることを見つけてほしいです。
私が大学生の頃は、野球場でアルバイトをしていました。多くのお客さまを対応する中で、時に大変な思いをすることもありましたが、一緒に働く仲間や野球が好きだったので、苦にならず毎回楽しく働いていました。このときの経験は、結果的に就活にもつながりました。
「不特定多数のお客さまにサービスを提供する」という意味では、野球場の仕事と鉄道会社って似ているんじゃないかと思ったんです。京王電鉄に入社する一つのきっかけになりましたね。
それから、「困難を乗り越える経験」も学生のうちにしておくといいと思います。社会人になると、どうしても逃げられない困難に直面することがあるので。大それたことでなくても、「楽をする道」と「挑戦する道」があったら、挑戦する方を選んでみる。その心がけが大事なんじゃないかなと思います。
編集後記
「やりたいこと」という言葉が多く語られたのが印象的だった、今回の取材。
京王電鉄のコース別採用は、「やりたいこと」に近い場所でキャリアをスタートしてほしい…!という、人事の皆さんの思いが詰まったものなのだと感じました。
やりたいことが分からない人も、大丈夫。まずは「楽しいと思えること」から見つけてみませんか?