「うまく話せない=不採用」ではない。ウエルシア薬局の面接官が語る、AI面接の裏側と本当に求めている「自律」と「誠実さ」

『さよなら就活対策』

「貴重な大学生活を“就活対策”で消耗していませんか?」

誰も教えてくれない「面接の裏側」を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白"。

今回インタビューしたのは、全国にドラッグストアを展開するウエルシア薬局の採用担当のお二人です。 近年注目されている「AI面接の裏側」や、現場での裁量が大きい「自律型マネジメント」のリアルな実態についてお話しいただきました。

「面接でうまく話せるか不安」「自分の強みがわからない」

そんな悩みを抱える学生の皆さんにこそ知ってほしい、企業が本当に見ている「価値観」や「スタンス」とは何なのか。面接の裏側から、そのヒントを探ります。

会社プロフィール / 面接官プロフィール
ウエルシア薬局は、調剤併設型ドラッグストアとして地域の健康を支える企業です。今回は、採用領域で長年の経験を持つ責任者の方と、薬剤師として現場を経験した後に採用担当へキャリアチェンジした担当者のお二人にお話を伺いました。
饗場さん:2018年より中途採用・総合職採用部の責任者を歴任。現在は統合された採用部門全体を管轄している。
芹澤さん:大学で薬学を学び、薬剤師として店舗で勤務。その後、ウエルシアの「ジョブチャレンジ制度」を活用し、自ら手を挙げて採用担当へキャリアチェンジ。

採用のこだわり:「自律型マネジメント」で店舗を作る

Q. 新卒採用におけるこだわりを教えてください。

饗場さん:私たちの大きな特徴は、店舗での「自律型マネジメント」ができる環境です。 一般的なドラッグストアでは、本部の方針に沿って品揃えや売り場のレイアウトが決まることが多いと思います。しかし弊社では、地域の特性に合わせて、現場で働く従業員が主体的に店舗づくりを考えることができます。採用においても、このような環境の中で「自分で考えて行動できる人」と一緒に働きたいと考えています。

Q. 「自律型マネジメント」とは、具体的にどのようなことなのでしょうか?

芹澤さん:例えば、お子様が多い地域であれば、春の時期に上履きや雑巾を多めに揃えたり、高齢者が多いエリアであれば介護用品の売り場を充実させたりと、地域に合わせた売り場づくりを行うことができます。他にも、地域の特産品を並べてみたり、地酒コーナーを設けたりと、本部の指示だけではなく現場の従業員が主体的に考えて店舗運営をしています。

学生の皆さんも、アルバイト先で「もっとこうした方がお客様に喜ばれるのに」と思った経験があるのではないでしょうか。ウエルシアでは、そうしたアイデアを実際の店舗づくりに反映できる環境があります。

饗場さん:だからこそ採用でも、「自分で考えて行動できる主体性」を持った学生と出会いたいと思っています。将来的には、店長などのマネジメント層を目指せる人材を期待していますね。

地域No.1の健康ステーションを目指して、専門知識を掛け合わせる

Q. 自律型マネジメントの先に、どのような組織を目指していますか?

饗場さん:当社はありたい姿として、「地域No.1の健康ステーション」を掲げています。地域の方々が、健康や生活で困ったことがあったら「ウエルシアに行けば何でも解決できるよね」と思っていただけるような、寄り所になりたいと考えています。

芹澤さん:そのために、店舗ではさまざまな専門職の知識を掛け合わせながら、お客様をサポートしています。例えば、店舗には次のような専門資格を持つスタッフがいます。

  • 薬剤師
  • 登録販売者
  • 管理栄養士・栄養士
  • ビューティアドバイザー

それぞれの専門性を活かしながら連携することで、医療や健康の面から地域のお客様を支えています。

選考での評価ポイント

Q. 選考フローを教えてください。

饗場さん:ウエルシアでは、AI面接と採用担当者との個別面談・フィードバックを組み合わせた選考を行っています。AI面接を導入している背景には、「面接官のバイアスを減らし、よりフラットに評価する」という目的があります。

人が面接をすると、どうしても「自分と似た経歴や価値観を持つ学生」を無意識に高く評価してしまうことがあります。AI面接はそうした属人的なブレを減らし、全員に公平な評価機会を提供できる点が大きなメリットだと考えています。

芹澤さん: 学生からは「AI面接は感情が読めなくて難しい」という声もよく聞きます。ただ私たちは、そうした状況の中でどのように自分らしく話せるかも見ています。例えば、予想外の状況でフリーズしてしまうのか、それとも臨機応変に対応できるのか。こうした対応力は、実際の店舗でお客様と接する際にも大切な力だと考えています。

Q. AI面接後の個別面談はどのような場なのでしょうか?

芹澤さん:面接とは違い、「選考と選考の橋渡し」として企業理解・学生の自己理解を深める場として行っています。選考中に生まれた疑問に答えたり、面接で話すことの言語化をサポートすることもあります。

実際に「自分の強みがわからない」「ガクチカが弱い」と相談に来る学生も多いのですが、話を深掘りしていくと、本人が当たり前だと思っている経験の中に強みが見えてくることがよくあります。その強みを一緒に言語化し、「入社後どう活かせるか」まで整理するサポートをしています。

また、ご自身のやりたいことがウエルシアで叶えられるかも擦り合わせます。せっかく入社していただいたのに「思っていた仕事と違った」と感じてしまうのは、とてももったいないことです。だからこそ、入社後のギャップをできるだけ減らしたいという思いで面談を行っています。

Q. 「自分で考えて行動できる主体性」を重視されているとのことでしたが、面接ではどのような質問からそれを見ているのでしょうか?

饗場さん:私がよく聞くのは、「大学で学んだことを日常生活でどう活かしていますか?」という質問です。例えば、以下のような視点ですね。

・管理栄養士学科なら、学んだ栄養の知識を自分や家族の食事管理にどう実践しているか
・経営学部なら、その視点でウエルシアの店舗をどう見ているのか

学んだ知識をテストのためだけで終わらせるのではなく、自分の生活や別の場面に応用しているかどうか。そうした行動から、「自分で考えて動く力」があるかを見ています。店舗では現場の判断で売り場づくりや提案を行う場面も多いので、こうした「応用力」やその土台となる「主体性」を持った方は、入社後も活躍する可能性が高いと感じます。

Q. 「志望動機」はどのように評価していますか?

芹澤さん:完璧に作り込まれた志望動機を求めているわけではありません。 それよりも「自分は何がしたいのか」という軸を持っているかどうかが重要です。

企業分析はもちろん大事ですが、「やりたいこと」と企業の接点を見つけるのは、面接官の役割でもあると思っています。無理にきれいな志望動機を作るよりも、まずは「自分がどんな瞬間にやりがいを感じ、どんな仕事をしたいのか」を等身大で掘り下げてみてください。

Q. 面接や面談の場で、緊張してうまく話せない学生も多いと思います。そうした方にはどのように接していますか?

饗場さん:「面接では上手に話せないといけない」と思っている学生は多いですが、実際にはそんなことはありません。面接という場で言葉に詰まるのは、ごく自然なことです。

私たちが見ているのは、流暢さではなく、その方の根本にあるパーソナリティです。言葉に詰まったからといってマイナス評価にするのではなく、「真摯にお客様に対応できるホスピタリティがあるか」を評価しています。

うまく話せない学生がいれば、その方の魅力をうまく引き出してあげることこそが、私たち面接官の役割だとも思っているので、ぜひ、リラックスしてお話ししてほしいですね。

印象に残る学生・お見送りになる学生

Q. 選考で、印象に残る高評価な学生はどのような人ですか?

饗場さん:面接官との会話の中で、自然にコミュニケーションが広がる学生は印象に残ります。例えば「学園祭の実行委員をしていました」と聞くと、「色々なサークルとの調整、大変だったよね」とこちらも興味が湧き、話を深掘りしたくなるんです。

そうした会話の中で自然にコミュニケーションが取れる方は、お客様の立場から見ても「この人なら相談しやすそうだな」という印象につながると感じています。

芹澤さん:私は面談担当なので選考には関与はしませんが、画面越しでも熱量や思いが伝わってくる方は、ウエルシアに合っていそうだなと思います。

Q. 反対に、お見送りになってしまう学生に共通点はありますか?

饗場さん:オンライン面接では、画面の横にカンペを置いて読んでいる学生もいます。目線の動きで意外と分かるものなんです。

もちろん、しっかり準備してきてくれている証拠なので、カンペ自体が悪いわけではありません。ただ、あえてそこに書いていない質問をすると、画面の奥で答えを探してフリーズしてしまう学生もいます。

そうした様子を見ると、「実際の店舗で予想外のことが起きた時、この方はどう対応するだろう?」と少し不安に感じ、残念ながらお見送りという判断になるケースも多いですね。用意したものを完璧に読むことよりも、予期せぬ状況に対して「自分の言葉で等身大に話せるか」という、臨機応変な対応力が重要な点だと考えています。

芹澤さん:私の面談でも「気楽に相談してね」という雰囲気でお話ししていますが、その中でも自分から言葉を出すことが難しかったり、質問が出てこない学生もいます。店舗ではお客様とのコミュニケーションが重要になるため、自分から関わろうとする姿勢が薄い方だと難しい印象を抱きます。

求める人物像と3Fitマッチング

Q. テーマ・カルチャー・スキルの3つのフィットのうち、特にどの要素を重要視されていますか?

饗場さん:どれか一つだけを切り離して重視しているというよりも、この3つの要素がつながっているかどうかを大切にしています。ウエルシアでは、3Fitの要素が下から積み上がり、一本の線でつながっているイメージで捉えています。

具体的には、次のような関係です。

スキル:データに基づいて地域の特性を読み解く「分析力」や「課題提案力」、そしてお客様の悩みを深く聞き出す「傾聴力」

カルチャー:そうしたスキルを土台として、現場で自ら考えて店舗づくりを行う「自律型マネジメント」

テーマ:そのカルチャーが実践されることで、最終的に目指す「地域No.1の健康ステーション」が実現する

このように、スキルがあるからこそ自律型マネジメントが実践でき、その積み重ねが「地域No.1の健康ステーション」の実現につながっていきます。

だからこそ私たちは、単に価値観が合うかどうかだけでなく、スキル・カルチャー・テーマの3つのつながりを感じられる学生との出会いを大切にしています。そして共に、地域No.1の健康ステーションを目指していきたいと考えています。

 ハタチ世代へのメッセージ

Q. 最後に、ハタチ世代へアドバイスをお願いします。

芹澤さん:低学年のうちは、とにかく少しでも興味があることに飛び込んで、視野を広げてほしいですね。社会人になってからでは時間的にできないこともたくさんあります。大学時代に経験したさまざまなことの積み重ねが、就活の時期になったときに「自分が本当にやりたいこと」や「就活の軸」を見つけるヒントになっていくと思います。

饗場さん:私は少し理系的な考え方かもしれませんが、「興味がないことも、まずはやってみて」と伝えたいですね。多くの方は、興味がないことには手を出さないと思います。しかし実は、「やってみて、やっぱり興味がなかったと証明すること」も、自分を知るための一つの立派な発見なんです。

食わず嫌いをして頭の中で思い込むより、実際に食べてみて「やっぱ嫌いだったな」とわかる方が、自分の価値観を語る際の確かな根拠(エビデンス)になります。

人を傷つけるようなことでなければ、どんな経験でも無駄になることはありません。 大切なのは、「その経験を通して、自分に何の気づきがあったか」「自分の成長や強みにどう繋がったか」をしっかり振り返り、分析することです。たくさん行動して、たくさん失敗した経験こそが、就活であなたを支える強い武器になってくれます。

編集後記

「うまく話さなきゃ」「すごいエピソードを作らなきゃ」と、面接対策に正解を求めて息苦しくなっていませんか?

今回、ウエルシア薬局のお二人に取材をして最も心に残ったのは、「面接は完璧な自分を演じる場ではなく、等身大の自分でお客様と向き合う姿勢を見せる場」だということです。取材を通して、ウエルシア薬局の採用チームのホスピタリティの高さも感じ、学生の魅力を引き出そうとする姿勢からは、「人」を大切にする企業文化が伝わってきました。

「興味がないことも、まずはやってみる」。そんな小さな挑戦と振り返りの積み重ねが、あなただけの価値観を形作っていきます。ぜひ今日から、自分の行動に「なぜそれをしたのか?」「そこから何に気づいたのか?」と問いかけてみてください。その答えの中に、あなたらしいファーストキャリアを描くヒントが隠されているはずです。