MENU
『さよなら就活対策』
「貴重な大学生活を“就活対策”で、消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白" 。
今回取材したのは、株式会社イシダの新卒採用担当慶野さん。株式会社イシダは、食品の重さを測る「計量機」や商品を包む「包装機」などを製造する、世界トップクラスシェアを誇るBtoBメーカーです。普段目にする機会は少ないかもしれませんが、実はイシダの技術は、スーパーやコンビニに並ぶほとんどの商品に関わっていて、普段私たちが目にする商品の影で社会を支える重要な役割を担っています。
そんなイシダのESや面接において、何が求められるのか?学生時代の時間の使い方はどうあるべきか?をリアルにお話いただきました。自分らしいファーストキャリアを描くヒントにしていきましょう!
選考フローとイシダの採用のこだわり
Q. まずは、選考フローについて教えてください。
イシダでは職種別に採用を行っています。選考フローは、エントリーシート→適性検査→一次面接(グループ面接)→個人面接→最終面接という流れです。最終面接の前に、希望職種の社員との面談の機会も設けています。
配属ガチャを防ぐ!職種マッチング
Q. イシダならではの採用のこだわりはありますか?
学生一人ひとりに合わせた採用を心掛けています。学生の皆さんの職種適性を見極めながら選考を進めていくことが、私たちのこだわりです。
エントリーシートに記入いただいた希望職種や、やってみたい仕事の内容を踏まえ、選考過程でそれぞれの職種に関する説明や、学生さんの経験・価値観に合った職種の提案などを行っています。入社後のミスマッチを防ぎ、個々の強みを活かせる最適な配属を実現するために、丁寧に寄り添うことを大切にしています。
本音で話せるフラットな関係を重視
また、選考におけるフラットな関係性も重視しています。企業が学生を評価するだけでなく、学生の皆さんにもイシダを評価していただきたいと考えています。
最終面接前には、希望職種の社員との面談や工場見学などを実施し、疑問や不安の解消、より具体的な仕事のイメージ形成をサポートしています。
イシダの評価軸、セルフリーダーシップとは
Q. 選考で評価するポイントについて教えていただけますか?
イシダで働く上では「自分なりにこうやりたい」と当事者意識を持って発信していく力が必要だと感じています。だからこそ、選考では「セルフリーダーシップを持っているか」を重視しています。
主体的にチームの中で発信する力
Q. セルフリーダーシップとはどういった力でしょうか?
セルフリーダーシップは「先頭に立つ」「明るくて活発」などというような目に見えたリーダーシップのことではありません。仕事に対して情熱を持ち、自分なりに意見を持ってチームに発信できる力に注目しています。周りに困っている人がいたら声をかけて助けるといった、自らの環境の中で行動を起こしていける人が当社では輝けると思っています。
イシダは130年以上続く安定した基盤を持った会社です。入社するメンバーには与えられた仕事に取り組むだけでなく、その安定した基盤を使って、常識や当たり前を疑って積極的に挑戦してほしいと思っています。失敗には寛容で、若手からどんどんチャレンジしていこうという文化なので、当事者意識と責任感を持って仕事を進める人が活躍できるフィールドだと思います。
粘り強く最後までやり切る力
Q. セルフリーダーシップの有無はどのように判断するのでしょうか?
物事に対して粘り強く取り組み、最後までやり遂げる力、そして行動の一貫性を評価軸としています。具体的には、挫折経験について深く掘り下げます。これまで経験した最大の挫折と、それをどのように乗り越えたのかを伺うことで、その方の粘り強さや問題解決能力を判断します。
イシダでは、営業、開発、お客様が一体となり、ニーズに合わせたオーダーメイドの機械を製作することもあります。そのため、チームワークを重視するだけでなく、個々の課題にも粘り強く向き合い、行動を起こす力が必要です。
具体的に評価される学生像
Q. 営業職で重視するポイントについて詳しく教えてください。
一概には言えないですが‥営業職ではセルフリーダーシップの中でも周囲を巻き込み、チームをまとめた経験がある学生、人事や管理などのコーポレート部門では、チームを支えてきた経験がある学生が評価される傾向にあります。
Q. 営業職で重視するポイントを具体的に教えてください。
経験について、そこに至るまでの努力やプロセスを重視します。営業はチームワークが重要となるため、チームを立ち上げた経験や、チームをまとめる中でどのような挫折を経験し、それをどう乗り越えたのかを具体的に教えていただきたいです。
営業はチームで一丸となってお客様のニーズに応えていく必要があります。だからこそ、チームを立ち上げた経験や引っ張った経験の中で、どのような挫折をして乗り越えていったのかを教えてほしいですね。その体験が社会人になってからもチームで働く上での土台に繋がると思っています。
コーポレート部門はチームを支えた経験
Q. 営業職以外の職種で印象に残るのはどんな学生ですか?
誰かが輝くために自分が裏方としてサポートした経験がある学生です。例えば、ゼミ活動で「メンバーが忙しくて集まれない中で、自分は一人一人に連絡を取って状況を打開できるように努めました」とか、サークルで「リーダーが見えていないチームの課題を見つけて、取り残されているメンバーに自分から声をかけました」というエピソードは印象に残りますね。
要注意!面接での〇〇はNG!
Q. よくあるお見送り例があれば教えてください。
例の一つにフレンドリーさを履き違え、面接官に対して過度に砕けすぎた言葉遣いや態度を取る学生がいます。誰とでもコミュニケーションが取れて、懐に入っていけるのはとても素敵なことです。でも、TPOに合わせた適切な言葉遣いと敬意のある態度、距離感かどうかは注意してほしいと思います。
あとは、表情が暗い・話が長く何が伝えたいかわからない場合も残念ながらお見送りになることが多いです。面接では自分の見せ方を意識したり、自分の伝えたいことを整理して臨んでほしいと思います。
三方良しの理念への共感が大事
Q. テーマ・カルチャー・スキルの3つのFITの切り口のうち何を大切にしていますか?
3つのFITとは:学生と企業、双方にとって納得感のある採用を実現するための自己分析のフレーム。ハタチのトビラでは、学生のマイテーマと企業のテーマ(理念)が合致するテーマフィット、学生の価値観と企業のカルチャーが合致するカルチャーフィット、学生の強みと企業の求める人材要件が合致するスキルフィットの3つが合うことが最適なマッチングであると考えています。
カルチャーフィットとテーマフィットを重視しています。特に、イシダの「三方良し」の理念への共感があるかは大事にしているポイントです。
イシダでは、お客さまと社会と会社の三方が良い方向に向かっていくように、という思いで事業を展開しています。だからこそ「自分よがりにならず、相手と社会があって自分が活かしてもらっている」というイシダのフィロソフィーを学生にも理解してほしいですね。
自分のためだけでなく「部活動やゼミでチームが良くなるためにこういう働きをした」など、相手を思いやって自分なりに行動することを大事にしている学生とマッチすると感じます。
ハタチ世代へのメッセージ
Q. 学生に向けて大学生活のアドバイスをお願いします。
「本当にやりたいことを全部やってきてください」っていうのがアドバイスです。「資格を持っておいた方がいい」「こんなのやっておいた方がいい」みたいな具体的なことはありません。自分が興味あるものに飛び込んでいろんな人と関わり、人間的に成長していってほしいと思います。
やりたいことを諦めずやり遂げた経験がベースとなって、社会人になって大変なことがあっても壁を乗り越えていける糧になります。
逆にやりたいことが見つからない、という学生には、自分が今いる場所から新しい情報を得てほしいと伝えたいです。大学は留学やボランティア、アルバイトなど、何か新しいことをやろうと思ったら、たくさんできる環境です。何か自分にもできそうなことを、まずは見つけてみてください。
編集後記
お客さまの期待に応え、長年にわたりトップシェアを誇ってきたメーカーだからこそ、一人ひとりの「セルフリーダーシップ」が重視されていることを感じました。「セルフリーダーシップ」は単にチームを引っ張るスキルではなく、自分ごととして責任を持ってやり切る力です。
慶野さんは最後に「本当にやりたいこと全部やってきてください」と学生にメッセージを送っています。大学生活で、あなたはどんなことに挑戦しますか?周りの人のために、どんな行動を起こしますか?自分らしい未来を切り開くヒントは、身近なところにあるかもしれません。これを機会に、自分らしいファーストキャリアを描いていきましょう!