「志望動機」って本当に必要?シチズンの面接官が語る、就活の裏側。

『さよなら、就活対策』

「貴重な4年間を“就活対策”で、消耗していませんか?」

誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白" 

今回は、シチズン時計様に、"面接の裏側"や"自己分析のポイント"をリアルに語っていただきました。

これからの大学生活や就活におけるヒントにしていきましょう! 

会社プロフィール:シチズン時計は2018年度で創業100年を迎えた、伝統ある「総合時計メーカー」です。「市民に愛され、市民に貢献する」ブランドとなるため、時計の企画、デザイン、開発、設計、製造、営業、アフターサービスに至る全てを自社グループで手掛ける、時計業界を牽引する存在です。
面接官 石井裕己さん:2008年に大学卒業後、就職情報会社に入社。新卒採用領域にて3年間営業に携わる。2011年、人事採用担当としてSIerに転職。丸7年間、採用業務に従事。2019年、採用担当としてレベルアップを目指し、異業種であるシチズン時計に入社。
面接官 四塚翔子さん:2017年に新卒入社。入社後3年間、新卒採用を担当。就活時、日々新聞をチェックする中で自分の興味関心は、ものづくりや新しい技術等にあることに気づき、世界に誇れる技術力を持ち、様々なバックグラウンドを持つ社員が働くシチズン時計へ入社を決める。

 

面接において大切にしているコト

Q. 就活の仕組みも変化する中、面接官として何を大切にしていますか?

四塚さん本音で話してもらえる関係づくりを大切にしています。私は1次面接を担当することが多いのですが、緊張でガチガチになってしてしまう学生さんがいらっしゃいます。まずはリラックスして本音を引き出せるような場・雰囲気をつくれるようにしていますね。

石井さん相互理解を大切にしています。まず、「うちの会社を志望しているんだよね?」という上から目線を持たないように気を付けています。

特に1次・2次面接は、会社の情報を知らない就活生も多いです。こちらも就活生の本音を引き出すというミッションがある中で、就活生も会社のことを知りたいでしょうし、知ってほしい。だから、質疑応答の時間は長めに設けるようにしています。

 

ー「就活生も会社を知らないという前提をもつ」。何だか、はっとさせられました。

石井さん:採用の仕事を始めたころは「志望動機は?」「なんでうちがいいの?」と訊いてしまっている時期があったのですが、よく考えたらそうじゃないなと。なんで自分たちのことを知っている、自分たちが好かれている前提で話を進めているのだろうと思いまして(笑)

お互いを知った上で志望度が下がったら仕方がないし、お互いに理解が深まった中で志望度があがったらそれはいいなと思っています。

 

「志望動機」はどう評価する?

Q. 「志望動機」って、企業に自分を合わせてくる就活生も多いと思います。そもそも必要だと思いますか?

石井さん:最終面接できけたらいいと思っています。立派な志望動機を最初から言える必要はないです。最終的に、お互いがお互いを好きなんですという状態で、内定を出すときに確認し合えることが理想ですかね。

四塚さん:私は、違った角度からお話すると、「志望動機」を考えるプロセスは、企業理解を深めるきっかけになるメリットがあると思っています。面接での質問はすべて「就活生のことを理解するため」にしています。なので、就活生側も、企業のことを理解しているのか?」という点は大切にしたいですね。

石井さん:確かに、その考え方にも賛同ですね。

 

Q. 「志望動機」について、御社ではどのように評価していますか?

四塚さん:マニュアル本には、会社へどう貢献できるかを語りなさいと書かれていたりしますが、貢献するまでの「プロセス」を説明してくれた就活生がいました。

その就活生は、入社した後のことを具体的に考えてくれているのだと思い感心しました。当たり前ですが、今すぐに貢献できる必要はなく、自分がどう成長してどう貢献できるかを話してもらえると、会社もその人が働くイメージを持ちやすくなると思います。

 

Q. なるほど。志望動機以外に拘っている質問はありますか?

四塚さん:特殊な質問はありません。人物性重視の面接なので、頑張ったことを深く掘り下げて話を聞かせてもらっています。“どんな時に頑張れる人なのか“というのは知りたいので、掘り下げてきくようにしています。

 

「ガクチカ」は取り組んだ背景が大切

Q. 「ガクチカ」はどのように評価していますか?

四塚さん:リーダー経験、表彰の有無などの成果の大きさは関係ありません。なぜやろうと思ったのか、なにか問題があったときにどのように考えてどう行動したのか、その背景、どのような考え方をする人なのかを聞きたいです。

 

Q. 経験内容は、バイトやサークル等でも構わないですか?

四塚さん:自分で語れるのであれば、何でもいいと思っています。
自分視座でも社会視座でもどちらでもよくて、自分が好きなことをつきつめた経験でも、社会問題に対して頑張った経験でもいいと思います。多様性が会社には必要ですからね。

石井さん:そうですね。どちらによるかがその人の個性ですからね。多様性を大切にしながら、個性や価値観を見ています。

 

Q. 具体的に、過去どのような就活生の経験を評価しましたか?

四塚さん:ハードルがあがってしまうかもしれないですが、「企業と共同研究をした技術系の就活生」の話が印象深かったです。

チームメンバーは全員社会人という中で、自分の意見を提案し、最終的に自分の役割を全うすることができたという事例がありました。

どんな相手の人に対してもしっかりコミュニケーションをとり、人を巻き込む力が垣間見えるエピソードから、自分で考えて行動できる素地があるなと感じました。

結果的に、内定者には「自分で考えて行動できる!自立した人」が多いですね。

 

ハタチ世代へのアドバイス

Q. 就活に向けて「大学1年生や大学2年生」にアドバイスをください

四塚さん:2つあります。1つめは、一つのものを追求すること、やり抜くこと。2つめは、いろいろな経験をすることです。

追求したり、極めたりした経験がある人って、社会へ出て活躍している人が多いです。ただ、そういう人は、視野が狭くなってしまう傾向もあると思うので、適度に専門以外の勉強してみるとか、視野を広げる行動をしてみるといいのではないでしょうか。

石井さん:就活を意識する前に、自分自身を知ることですかね。これは私自身の反省も踏まえてなんですが、就活に入ると自己分析で苦労する人が多いです。

就活が本格化する前の大学1,2年生時代に、何をしていると「楽しいと感じるのか?」「悲しいと感じるのか?」「どんなときに力を発揮できるのか?」感情の変化に敏感になってほしいと思います。

 

編集後記

“相互理解“を大切にしながら、”人物重視“の面接をするというところまで赤裸々に語っていただきました。“お互いを知った上で、納得して働く“ということを大切にされているシチズン様の価値観には非常に共感しましたね。

面接の場になると、“内定”をもらうために「自分をよくみせよう」となってしまうのが人間の心理。

しかし、面接官は、模範解答を求めているわけではありません。ぜひ、仮面の自分をつくる前に、自分らしいキャリアをつくるための新たな経験へ一歩踏み出してみましょう!