無限にあるようでない、大学生活の選択肢
「充実した大学生活、過ごせていますか?」
自由に選択できる時間が増えるがゆえに「授業とバイト以外、何をすればいいかわからない…」という声がよく聞かれるのも事実です。
大学生活を後悔している学生は65%程度存在し、3年生が就活をはじめるタイミングで「自己PRできる力を注いだ経験がない」「もっと有意義に時間を使えば良かった」と後悔する学生は少なくありません。
ハタチのトビラ「大学生活7つの鍵」シリーズでは、大学生活を充実させるための7つの必需品をまとめています。1つ目の大学生活の鍵では、“自己分析”を紹介します。
通学中などの隙間時間に読み、大学生活をアップデートするきっかけをつかみましょう!
大学1年生から自己分析が必要な理由とは?
「“自己分析”って、就活でやるもんじゃないの?」 「ちょっと気が早いのでは?」そう思った方、その気持ち、とても分かります‥!
せっかくの自由な時間ですから、気の向くままに時間を使いたいですよね。
では、なぜ自己分析を就活前の大学1年生 や 2年生から始めたほうがいいのか?その理由を3つお伝えします。
1. 大学生活の過ごし方で迷子にならないため
「授業、バイト、サークル…まぁまぁ楽しいけれど、何だか物足りない」
「手帳の予定を埋めることに必死になっていて、自分はどこに向かっているんだろう?」
ふと、自分の大学生活を立ち止まる瞬間は誰しもがあることです。
大学生活では、授業とバイト以外にも外に目を向ければ、学生団体、インターン、部活、プログラミング等のスキルを極める、留学、等々と選択肢は無限に広がってるようにみえます。
だからこそ、何に興味があり、どんな経験値を蓄積して個性を磨きたいか?軸を持つこと、無数の選択肢から納得感を持って選ぶことが大切です。
2. 就活の短い期間で、 “やりたいこと” や “強み”を語ることを求められるから
「就活、いつから始めますか?」
21卒から就職活動の一斉スタートが廃止され、就活のスタートラインはあるようでなくなりました。「良い学生をとり逃したくない」という企業の思いから、新卒採用は前倒しになっている現実があります。
その就職活動の中では、必ずといっていいほど「志望動機(やりたいこと)」と「ガクチカ(頑張った経験と強み)」を語ることが求められます。
知らない大人から、「どんな業界で、何を実現したい?」「あなたの職場で活かせる強みは?」と問われるのが就活です。
場合によっては、「“やりたいことだ”と確信するに至った経験を教えて下さい」と掘り下げて聞かれることもあり、「行動が伴っていない“やりたいこと”に信憑性はない」と語る人事もいます。
「業界?強み…?そんなの知らないよ…」「やりたいこと?向いていること?誰か教えてくれよ…!」って口にしたくなりますが、あなたの将来の最適解は、誰も教えてはくれません。(ちなみに、企業数でいうと国内だけでも約270万社があり、選択肢ありすぎて占いに頼りたくなりますね…)
みなさんお気づきの通り、就活という限られた期間で、納得感のある「進路の軸」を見出し、自信を持って言い切れる「強み」を語ることは難しい。
だからこそ、知らない大人に問われて困惑する前に、「強みって何だっけ?」「やってみたいことってある?」と自分に問うてみることが大切です。大学1年生からはじめて、早すぎるということはありません。
3. 心地よい「環境」に出会うため
「大学生活では、どんなコミュニティに所属したいですか?」 「大学を卒業した後、どんな場所で、どんな風に働きたいですか?」
自分の心地よいと思える人とつながったり、場所に属したり。環境選びにおいても軸は大切です。
ほら、同じ種類のサークルであっても「わいわい楽しむサークル」「真面目に練習するサークル」「飲み会が命のサークル」同じ選択肢においても大切されていることが違いますよね。
就活の企業選びで、同じサービスや商材を扱う企業においても、職場の雰囲気や大切にされていることは異なります。
“仲の良い友達の考え” や “その場の雰囲気”に流されずに「環境」を選ぶにあたっては、大切にしたい判断軸も必要なのです。
自己分析で明確にすべき3つのこと
では、実際に自己分析をする際に、何を明確にすればよいのでしょうか?
就活になると必ず取り掛かる必要のある自己分析ですが、就活が落ち入ってしまう#自己分析あるあるがあります。
1つ目が #過去の経験をノートに振り返って満足する二つ目が #診断ツール を利用して満足するという2つです。
そうなると、「あれ…何が明確になったのだっけ?」という状態に陥りがち。
自己分析において、「まずは経験を掘り下げよう、整理しよう」と言われますが、ただ過去を洗い出すことに意味はありません。診断ツールを利用して適職やタイプが出てきても、わかるのはあくまで傾向です。
「結局、何をすればいいの?」ということで、ここからは自己分析で明確にすべき3つのことについてお伝えします。
1. 興味
興味は「もっと知りたい・関わりたい」と感じること・分野です。
「何でだろう?」と探究したくてわくわくが湧いてきたり、「どうすればいいの?」と問題意識を感じるようなことです。
本屋さんへ入って、思わず立ち寄ってしまうコーナーはどこでしょうか?様々あるジャンルの中に、きっと、あなたの心踊る本があるはず。それがあなたの興味です。
大学生活において、自分の興味を認識し、「なんでだろう?」と行動にうつすことができたら、大学生活がさらに彩り豊かなものになります。興味ある分野から、仲間もできた!なんてこともあるかもしれませんね。
2. 強み
今のうちにぜひ知ってほしいことは、就活において“特別なスキル”が評価されるという勘違いです。新卒採用において、面接官は特別なスキルを語ってほしい訳ではありません。
「コミュニケーション力」「思考力」等は、グループワークである程度見極めていますし、「プログラミング」や「英語力」「簿記」などの知識は、入社後にある程度鍛えられるものです。
新卒採用において評価されるポイントは、スタンスにおけるあなたの特徴(強み)です。学生生活の経験の中で、「困難に耐えられるか」「やり抜く力があるのか」「人のアドバイスに耳を傾けられるのか」成長できるスタンスが磨かれているか否かをみられています。
強みは、誰しもが持っているものです。当たり前にやっているため、自分だけでは”強み”として見つけにくいというのはよくあること。人からフィードバックをもらい、自分の強みを意識して行動する習慣を付けてみるのもいいですね。
3. 価値観
人は誰でも、価値観を持っています。価値観は、「何を大事にして選択・行動しているか?」ということです。「意思決定」や「好き嫌い」を決める一つの判断軸となり、明確にすることによって選択に迷いがなくなります。
日常生活において、何かモヤモヤしたり、イラっとすることってありますよね。それは大抵、この価値観が満たされていない時です。この価値観が明確になっていると、日々の生活において充足感をより感じられるようになりますし、どんな環境に身を置きたいかが明確になります。
『常識にとらわれないこと』 『誠実であること』 『人とのつながりを大切にすること』等々、「あなたの人生において最も重要な価値観は何ですか?」そのキーワードを是非言語化してみてください。
個の軸が問われる時代に。今からできる自己分析って?
ここまで「なんとなく、自分を知ることが大切そう…」「自己分析は闇雲にやるのではなく、ゴールを明確にした方が良さそう…」ということをお分かりいただけたと思います。
ただ、自己分析をしよう!と少し立ち止まって考えたからと言って、簡単に見出せるものでもありません。経験と自己分析からコツコツと自分を見出すことが重要です。
ここからは、コツコツと自分を見出す、具体的なやり方を解説します
興味を明確にする自己分析 その1 [自分史]
興味を明確にするための自己分析の1つ目は、自分史です。
自分史とは、文字通り「自分の歴史」のことです。幼少期から大学生までの自分を振り返り、棚卸してみることで、客観的に自分を見つめることができます。自己分析のやり方として最もスタンダードな方法の1つで、就活生のほとんどの方が実践しています。
自分史の具体的なやり方
興味を明確にするための自己分析は、3つのSTEPに分けられます。
STEP1:幼少期〜大学時代のそれぞれの時代において、「一番興味のあったこと、頑張ったこと」を具体的なエピソードと共に書き出す
STEP2:1で書き出したエピソードについて、それぞれ「なぜ興味があったのか、なぜ頑張れたのか」興味・関心の理由を書き出す
STEP3:全ての時代の1.2で書き出したことから言えるキーワードを抽象化して言葉にする
キーワードを抽象化して言葉にするというイメージが湧きづらいという方は、以下の具体例の違いを参考に、言語化してみてください。
中学時代に、部活動を頑張っていたAさん、Bさんがいたとします。
とにかく1番になり、勝つために頑張っていた。試合のビデオを何度も見て競合に勝つための練習方法や戦略を考えていた。
→1番になるための仕組み化、戦略を立てること、分析に興味がある?
試合に出られないメンバーも含めて、みんなで勝ちを目指すために頑張っていた。部活へのモチベーションが上がりにくく、当時辛そうに部活動をしていたベンチ外のメンバーのサポート、人を笑顔にするためのサポートをしたいと思い、マネージャーと話し合っていた。
→人を笑顔にすること、人の心理に興味がある?
「興味があったことは何?」という直接的な問いで興味を思い出すことができなくても、「頑張っていたこと」や「夢中になっていたこと」などから紐解くことで、昔からある自分の”興味”を言語化することができます。
ここでは、興味を明確にする自己分析として自分史をお伝えしていますが、「苦しかった経験をどうやって乗り越えた?乗り越えようとした?」等と問うことで”強み”を、「その経験を通して大切にしてきたことは?」などと問うことで、大切にしている”価値観”を明確にする自己分析としても活用することができます。
興味を明確にする自己分析 その2 [マイテーマ探究]
興味を明確にする自己分析方法の2つ目は、ハタチのトビラの推奨機能、興味から生まれる問いを探究する「マイ―マ探究」です。
ハタチのトビラでは、これまで数千人以上の大学生に「マイテーマ探究」の方法を伝授してきました。
現在の興味を可視化し探究することで、自分っぽい方向性を見つけることができます。詳しく知りたい方は、コラムをみていただくか、騙されたと思って一度イベントに来てみて下さい。(あっ無料ですし、怪しい壺とか買わせたりしないのでご安心を)
自分史のように、過去の記憶を頼り幼少期から今までを振り返る方法は、就活の際にもよく用いられます。過去の記憶は忘れてしまっていたり、美化されてしまいがちだったりと、少し不確実な部分がある可能性もあります。
今回ご紹介したマイテーマ探求では、現在起きていることから今の自分と向き合っていくので、新鮮な情報の中から納得した状態で自己理解を深めていくことができますので、ぜひ実践してみてください!
強みを明確にする自己分析その1 [ストレングスファインダー]
強みを明確にするための自己分析の1つ目は、ストレングスファインダーです。ストレングスファインダーは、アメリカのコンサルティング会社ギャラップ社が開発したツールです。人の強みの元である才能、無意識に繰り返される思考・行動・感情のパターンを明らかにするツールとして、世界で高い評価を受けています。
ストレングスファインダーの具体的なやり方
ストレングスファインダーを受ける方法は書籍を購入し、記載されているアクセスコードを使用する方法とギャラップ社のサイトもしくは公式アプリからアクセスコードを購入する方法の2つがあります。
30分から40分のwebテストを受けると、34の資質の中から「才能TOP5」を知ることができます。
サイトもしくはアプリで購入することで、6位以下34資質を知ることも可能です。
昨今は、どれを使えばいいか迷ってしまうくらい様々な自己分析ツールがあります。
自己分析ツールは、時間内に問いに答えることであなたの優れているであろう能力や適性がありそうな職を示してくれます。3分から5分で出来るような手軽さもあって、就活中に一度は試してみる方が多いと思います。
しかし、検査ツールを利用して「私の強みはコミュニケーションだ!」「研究職に適正があるらしい」というように、結果を見ただけで終わりにする自己分析はあまりお勧めできません。あくまでも、自己分析の手がかりの1つとして活用することをおすすめします。
強みを明確にする自己分析その2 [フィードバックによる他己分析]
強みを明確にする自己分析の2つ目は、他者からのフィードバックによる他己分析です。
「自分のことを一番知っているのは、自分だ」と思いがちですが、実は「他者だけが知っている自分」や「自分も他者さえも気づいていない自分」が隠されています。
以下の図は、他者との関係から自己への気づきを促し、コミュニケーションの円滑な進め方を知るためのツールとして知られているジョハリの窓です。
他者からのフィードバックによって、自分と他人の認識のズレや自分では認識していない自分、盲点の窓を開くことができます。
他者からのフィードバックによる自己分析の具体的なやり方
他者からのフィードバックによる自己分析は、友人や両親など、基本的にあなたを知っている誰でもOKですが、昔からよく知っている人やサークルやバイトなど、チーム・組織の人などの意見、社会人の意見を参考にしてみるのがおすすめです。
・私の長所は?
・集団での私の役割は?
・第一印象と今では印象がどう変化した?
上記を質問するだけでなく、自分史や、後述するモチベーショングラフを踏まえ、他者と話してみることも有効です。友人や両親にエピソードを深掘りしてもらうことで、自己分析を深めていくことができます。ちょっと恥ずかしい気もするかもしれませんが、就活準備にかこつけて、ぜひやってみてください!
他者からのフィードバックによる自己分析は、強みだけでなく、興味や価値観を明確にする際にも活用することができます。「何をしているときが楽しそう?しんどそうに見える?」「一緒にいて、どんな価値観をもっていそうだと思う?」などと質問してみるのもおすすめです。
価値観を明確にする自己分析その1[モチベーショングラフ]
価値観を明確にする自己分析の1つ目は、モチベーショングラフです。
モチベーショングラフとは、「自分のモチベーションの上げ下げを書くグラフ」のことです。モチベーショングラフを書くことで、どんな時にモチベーションが上がるのか?また下がるのか?モチベーションの源泉を知ることができます。
モチベーショングラフの具体的なやり方
生まれたときから大学生の現在までの期間で細かくモチベーションの上がり下がりを書き込みます。そしてモチベーショングラフの「山」や「谷」となる部分では、「なぜモチベーションが高かったのか?」それぞれの出来事が起こったときの感情、思考まで深掘ることが大切です。
そして一通りの深掘りができたら、「山」や「谷」の部分の共通点を見つけることで、興味の種や、自分の特性(強みや思考の癖)、大切にしている価値観を可視化することができます。
価値観を明確にする自己分析その2[日記]
価値観を明確にする自己分析の2つ目は、日記です。
王道の日記ですが、多くの著名人がおすすめするように本当に効果が抜群なんです!
その日の出来事を感情も含めて振り返ることで、今興味を持っていることや自分が大切にしている価値観、思考のくせ等が見える化されます。
日記による自己分析の具体的なやり方
日記の書き方は様々ありますが、ここでは、YWT(ワイダブリューティー※)というフレームを紹介します。※日本能率協会コンサルティングが提唱し日本で開発されたフレームワーク
Y(やったこと)
今日取り組んだこと、あった事実のみを客観的に書き出します。
W(分かったこと)
気づきや学びを書き出す部分です。Yに対して考えたことや気づきを、良かったことと改善していきたいことを含めて書き出してみてください。
人によって、Y(やったこと)に対しての認識や味わい方は様々です。例えば、全く同じ授業を受けても、同じコンサートへ行ったとしても、人によって気づきは様々ですよね。これは、人それぞれの思考や価値観の違いから生まれるものです。このYの部分を感じたままに言語化してみることが自己分析においてもとても重要になります。
T(次にトライすること)
Wで書き出したことを踏まえ、今後どのように取り組んでいくのかをまとめましょう。良かったことは継続する方向へ、課題点については改善案も含めて書き出してみてください。
日記を書く際のポイント
・他人比較ではなく、自分比較
「もっとすごい人はいるから」と他人と比較したり、「まだ結果が見えていないから」と結果にこだわりすぎないこと。
あなた自身が、過去の自分と比較して「自分なりに頑張ったこと」に着目してみてください。その体験によって「自分なりに変化できた」ことやそれによって「自分なりの良さ」とは何か向き合ってみることが最も大切なことです!
・毎日、きちんと書くでなくてもOK
忙しい大学生活ですから、「毎日きちんと書かねばならない」と決めなくても問題ありません。大切なのは、《毎日書くこと》よりも、《数日に一回でも自分に向き合う習慣をつけること》です。
書き出すことで思考が整理され、第3者の視点で自分を見つめることができます。まずは、1週間に1回、1日10分間、内省の時間を確保してみてください。
大学1,2年生からの自己分析のすすめ
親の期待や友達の意見に流されずに、自分っぽい人生を歩んでいくためには、判断軸、指針を持って過ごすことが大切です。それが、自由な大学生活の無駄な時間消費を防ぐことにつながります。
そして、軸を持って経験を積むことが、自分っぽい個性を尖らせることにもなります。
自己分析は、就活で終わることのない、人生において向き合い続けるものです。
大学生に限らず、「経験すること」と「自分を見つめること」をとにかく繰り返している人は、選択をする際の判断軸(指針)があります。
大学生活は、ある意味リスクが小さい実験期間です。経験と自己分析を繰り返し、充実した大学生活、自分っぽい人生を送るきっかけを掴みましょう!
「自己分析」という鍵をもって、大学生活を充実させるためのトビラを開けてみてくださいね。