『さよなら、就活対策』
「貴重な4年間を“就活対策”で、消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白"
今回インタビューさせていただいたオプトでは、面接の「ガクチカ」において、「視座」「視野」「視点」「解像度」の4つをみているそうです。
具体的にどんな就活生が面接において評価されたのか、どんな観点を大切にされているのかについても伺いました。
「就活って何から始めたらいいの・・・?」という漠然とした不安を抱えている大学1年生・大学2年生にとってもたくさんのヒントが得られる内容となっています。
その場では評価しない面接とは?
Q. 就活の仕組みも変化する中、面接官として何を大切にしていますか?
まず前提として心がけていることは、自分のバイアスを理解して面接に臨むことです。
面接官である自分と似たような経験がある人には、感情移入しやすかったり、逆に経験上、苦手なタイプな人がでてくると評価を下げがちだったりしてしまいます。
人事も人間です。笑
面接官である自分と似た経験がある方に対して感情移入をゼロにするのは難しいのではないかと思っています。しかし、それをしてしまうと評価の公平性が失われてしまう。
ですので、面接の中でその場で評価をしないということにしています。面接の時間はあくまで就活生がやってきた経験・情報をフラットに引き出す時間ということを大切にしています。
加えて、就活生と接するにあたってあくまで対等な関係であるということも大切にしています。具体的には質問の仕方や話の聞き方に注意しています。
最も評価しにくいガクチカは?
Q. 模範解答のような似た「ガクチカ」も多いと思いますが… 「ガクチカ」については、どのようなポイントを評価していますか?
面接時間内にお聞きした情報をもとに、改めて評価をするのですが、実績・功績だけで判断することはありません。それよりも、視座・視野・視点・解像度の4つをみています。
例えば、“リーダーとして何かを達成した“というエピソードに対して、「リーダーの立場」や「リーダーの仕事を務めた事実」自体を評価することはありません。そうではなく、その就活生自身が役割以上のことを「枠を超えてやっているか?」という観点から見ています。
それは即ち、「視座が高い」「視野・視点が広い」という評価につながります。
加えて、その経験の中で果たしてきた/これから果たそうとしている影響範囲という観点からも見ています。「自分」「チーム」「組織」「日本」「世界」など、どこまで視座を行き来できるかを評価できるからです。
Q. 具体的に、過去どのような就活生のガクチカを評価したのですか?
よくあるガクチカが「チーム活動の中で、モチベーションの差があることが課題と捉え、解決した!」という経験です。
基本的に、このガクチカでは「モチベーションが下がっている人がいたので、話を聞きフォローして改善しました!」という話が多いのですが・・・
これは、その人とこれまで行動を共にした事がない私から見ると、具体的にやった事が見えづらかったり、何を持って「達成」したのかという基準が明確に分からなかったりします。一番評価しづらいんですよね。笑
そんな中で、「視座・視野・視点・解像度」が具体的に伝わる「部活内でのモチベーションアップ系の経験」を話してくれたAさんのガクチカを評価しました。
ある部活の中で自分が1年生の時から、「”レギュラー”と”それ以外のメンバー”のモチベーションの差」に疑問をもっていた。 Aさんはその原因を「練習場所をレギュラーは多く使える / それ以外のメンバーは多く使えない」ということだと考えて、先輩に提言。しかし、課題解決には至らなかった・・・
そこで、自分が努力してリーダーになるしかないと思いレギュラーを勝ち取り、「全員で勝ちに行くチームをつくる」という目標のもと、チームの方針ややり方を自分で決め推進した。しかし、一方的に推進したため部内で衝突が起きた。
そこから過去のメンバーの実績をデータ分析し、仮説を立てた上で、メンバーを集めて全員で目標や方針を考える会議を実施、その後も定期的に会議を繰り返し、目標と方針を決定した。 そこからは、それぞれの役割を作って抜擢をしたり、提言を承認したり、工夫を重ねることによって組織が機能し始めた。結果として、自分たちの目標を達成することができた。
このガクチカにおいては”自分がレギュラーになれればよい”という訳ではく“組織”という「視座」から何をするべきか考えています。
また、“先輩・後輩” “レギュラー・レギュラー以外のメンバー”へ「視野」を広げ、“目標達成のための本質的な課題は何か?” という「視点」を常に持って行動しています。
失敗を繰り返しても、「解像度」の高い振り返りを通じてPDCAを回せていますよね。
Aさんは、どんな環境においても再現性のある行動ができるなと判断しました。
―どんな環境においても再現性を持って行動できるかという観点は面接官としても気になりますよね・・・
再現性について確かめるにあたって、基本的に直近のガクチカだけでなく、小学校~高校生の頃のどんな経験をしてきたのか?まで聞くようにしています。
人のスタンスや価値観は、大学生活だけでなく、それ以前に受けてきた教育によって培われていると考えているからです。
例えば、小学生の頃から周囲との比較を受ける環境で育った場合、「無意識に他人との比較意識が強くなってしまう・・・」とかよくありますよね。
私は、大学での経験だけに閉じずに、過去の経験まで掘り下げて聞くことが大切だと考えいています。
志望動機の評価のポイントは個人のビジョン
Q. 「志望動機」って、企業に合わせてくる就活生も多いと思います。必要だと思いますか?
志望動機は“就活生の本音ではない”と捉えているので全ての選考で聞いていません。
弊社のビジョンである、『自分の未来と個客の未来が重なるところへ』にあるように“組織のビジョン”と“個人のビジョン”の重なるところを探してみてねという話をしています。
就活生がどういう個人ビジョンを掲げているのかを掘っていきながら、重なる部分があるのかなということを面接の場でみています。
「志望すること=自分を変えて会社に合わせること」ではないということですね。
Q. 個人ビジョンの具体性は就活生によって異なると思うのですが…どのように評価していますか?
そうですね、原体験から紐づいている個人ビジョンを語る就活生もいれば、ぼんやりとしたビジョンを語る就活生ももちろんいます。
就活するタイミングで初めてビジョンを考えてみようという人が多いですよね。
だからこそ、長期にわたって人事が関わっていくことを心がけています。最初にお会いした時には曖昧でも、選考の過程で人事が伴走しながらその就活生のビジョンを具体化していくサポートをしていますね。
Q. 具体的に評価された個人ビジョンの例はありますか?
「自分の生まれ故郷の雇用を変えたい」といった就活生Bくんは印象に残っています。
その県は離島で、生活インフラの環境や雇用環境もよくない。その環境を変革するためには、デジタルの力やマーケティングのスキルが必要だと彼は考えていました。
その県の仕事へ対する向き合い方や価値観を変革できる人材になっていきたいというのが彼のビジョンだったんです。
日本のデジタルシフト支援を行っていきたいと掲げる弊社と重なる部分が確かにあるなと捉えていました。
ハタチ世代に伝えたいこと
Q. 個人ビジョンを具体化するためのコツはありますか?
「何をやりたい」よりも「ありたい」のほうが自分の未来を決めていく上で大切だと思っています。
会社の事業が変わることもあれば、自分がやりたいことが変わるケースもあります。
自分の人生を考えると「あり方」を問う方がいいのかなと。例えば「どんな人になりたい?」という漠然としたものを考えることも重要なんじゃないですかね。
「どんな考えを持っているのか?」「どんな価値観を大事にしているのか?」「理想に近しいロールモデルはいるか?」等の観点から掘り下げることもありますね。
就職活動って、業界から入る人もいると思うのですが、そこから入ると迷子になりがちです。業界地図を広げてみても、事業の違いってほぼ差がないと思っています。結局一番違うのは、会社のビジョンで、そこへの興味が大切だと思います。
自分と会社のビジョンに重なるところがあるということは、組織への所属理由として大事なのではないかと思いますね。
Q. 最後に、就活前の大学1、2年生のうちにやっておくべきことはありますか?
社会人の方に接触する機会を増やすということです。
学生時代にやれることの選択肢って「海外留学」「インターン」「学生団体」・・・色々ありますが、僕は個人的に「学生団体」があんまり好きじゃないんですよね。笑
内向きになりがちで、内部でのマウントの取り合いになりがちだと思うからです。就活を支援する学生団体も増えてきていますが、「仕事経験ないよね…」「テクニック論に偏りがち…」と思ったりします。
それよりも、実際に社会人として現場で戦っている人に多く触れることで、これまで想像できなかったような学びが得られると思います。
編集後記
就活において「やりたいことがわからない」という悩みに誰しも一度はぶつかることと思います。
ビジョンを問われると荷が重たいですが、まずは「自分がどうありたいか?」「どんな人に惹かれるか?」等々
シンプルな“あり方”と向き合うところからはじめてもいいかもしれませんね。
就活という短期スパンで、個人ビジョンを見出すことは難しいからこそ、大学1年生や大学2年生の時代から、自分と向き合う時間をつくることもオススメです。
ぜひ、自分の言葉で語れる経験、自分らしいキャリアをつくるための新たな経験を!