社会課題解決に挑むLITALICOの面接の裏側から紐解く、就活と大学生活。

『さよなら、就活対策』

『企業に自分を合わせる就活はもう辞めよう!』をコンセプトに、優良企業の面接官の本音を紐解くインタビュー。

面接でよくきかれる質問「志望動機」「ガクチカ」について、どんな評価軸で、過去どんな回答を評価したのかをリアルに語っていただきました。

LITALICO様が大切にされている価値観も垣間見ることができると思います。これからの大学生活や就活におけるヒントにしていきましょう!

会社プロフィール:「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げ、教育課題と雇用課題に対し全国約200拠点で直接支援を展開。ここで培った知見やノウハウ等を基に、間接支援としてのメディア事業や全国6万以上の福祉事業所を対象としたSaaS型経営支援を開始。研究開発や政策提言も含め、あらゆるセクターを巻き込みながら個と環境それぞれに包括的なアプローチをしている。
面接官プロフィール:柴田茉歩さん(LITALICO新卒採用担当) 
2016年に新卒でLITALICOに入社し、関西でLITALICO教育事業の新規教室の立ち上げや当時最年少で管理職を経験。 その後学研グループ会社、リクルート住まいカンパニーに転職を経て、2019年12月にLITALICOに再入社。 教育支援現場からビジネスによりアプローチまで幅広く経験を重ねる。 生まれた環境によって希望を持つことに格差が生まれることに中学生の頃から違和感を覚え、大学時代は家庭裁判所の調査官になるため法学を専攻。

面接官として大切にしているコト

Q. 就活の仕組みも変化する中、学生と接するに面接官として何を大切にしていますか?

大切にしていることは面接官側が一方的に良い・悪いを見極める場ではなく、「就活生自身がLITALICOで働いて幸せになれるか?」という視点を持つことです。

理由としては、会社として”多様性を力に変える”という文化を大切にしていますが、まだまだ会社として未熟な部分もあり、全ての多様性を力に変えられる土壌が完全に整っているわけではないからです。

理念やビジョンを共感頂くことは非常に多いですが、それを実現していくためにはスピード感の求められる現場の中で日々柔軟な対応が求められたり、泥臭さが必要だったり、難易度の高いチャレンジが必要となる会社です。

そのため細かい業務レベルの話まで責任を持って会社の事実を正しく伝え、そのうえで学生自身が幸せに働くことが出来そうか一緒に考えられるように、出来るだけフラットな場を作りたいと考えています。

そのために、こちらから伝えるだけでなく、学生を多角的に、面で知ろうと努力しています。学生の過去の経験や未来への想いを、点を繋いで線や面で知るために「過去どんな行動ををしてきたのか」「未来どんな人間になりたいのか」を聞いています。

 

ESの評価は事業との相性で判断⁉

Q. 面接の入り口となるエントリーシート(ES)ではどのような評価をしていますか?

弊社の多くの事業部では、ESの提出を求めていません。一部、言語表出力が業務上必要となる場合は求めていますが、その際はあくまでもどのように論理的に伝えたいことを他者に伝えることが出来るかという部分について、確認をさせて頂いているだけです。

なぜ、ESの提出を求めていないかと言うと、拠点型のビジネス経営において対話をしてこそ見えるその人の“らしさ”が大切だと考えているからです。そのため可能な限り対話をさせて頂きたいと思っています。

 

裁量が大きい企業ならではの評価指標

Q. 模範解答のような似た「ガクチカ」も多いと思いますが…「ガクチカ」については、御社ではどのようなポイントを注力して評価していますか?

「具体的にどのような行動をしたのか」ということが最も大きなポイントとして評価をさせて頂いています。「長期期間やりこんだこと」or「短期的にコミットしたこと・ハードルの高いこと」はどちらでも構いません。

その中で、決して肩書きを知りたいわけではないということは学生にも伝えています。

「役割をどうとらえて行動したか」「週に何回、何時間、どれくらいやっていたのか」など、追体験できるくらいの情報を拾い、その人にとっての「頑張った行動」を細かく質問しますね。

学生の中には、なぜそれをしようと思ったのか、理由や思いをたくさん教えて下さる方もいるのですが、理由や思いよりも「頑張りたい」と思ったときに「何をしたのか」という事実が大切だと考えるからです。 

その背景としては、「批判より提案、提案より行動」という会社全体の文化や、早期でゼネラルストやスペシャリストとして会社の未来を担っていって貰える人を採用したいという新卒への期待があるからです。

そのため、学生時代の取り組みのなかでも課題を自分で見立てて自分で前に進む行動を実直にやれる人なのかどうか、見させていただいています。

―入社後から高いハードルが課せられるからこそ、乗り越えられる人材なのかを慎重に見極めているんですね。

私自身、入社2年目に教室長になりましたが、入社2ヶ月の時に1つ年次が上の教室長の先輩に「柴田は来年には育成する側になるんだよ」と言われました。
 
1年目から「何のために授業をするのか?」「教室の経営状況をどう見るのか?」という視点を共有してもらい、自分で前に進む姿勢が求められる環境なのだと常に実感しながら働いていました。

 

内定者の評価された「ガクチカ」とは?

Q. 具体的に、過去どのような学生の経験を評価したのですか?

過去にいじめられた経験や学生時代のインターンで上司から一方的に突き放されたことで深く悩んだ経験を持つ就活生がいました。

その方は、そんな自分の経験から「関わる人一人一人にちゃんと向き合い、目の前の人の心のすっきり度をあげていきたい」というビジョンを掲げたようです。そして人の心と向き合うということを意識しながら実際に一緒に働いていたインターン生を巻き込んだ経験について、関わった人の特徴や変化、具体的な会話の内容なども鮮明に思い出しながら、自分の行動を私が追体験できるほど具体的に教えてくれました。

悲しい、悔しい等、社会に対する強い感情をもっている方だったのですが、それをバネに突破していく力があるなと感じました。起きた物事に関して、ただ感情の揺れ動きだけに収束せずに、自分の行動も変容させ、ことを前に進めてきた経験があることを評価しました。

Q. 反対に、このエピソードはちょっとしんどいなと思う例はありますか?

課題意識に対して、行動を起こすことができていない例はあまり評価していないですね。

例えば「学校教育は、もっと子どもに個別でアプローチをしたほうがいいと思う」と話す方に対して、「その想いを元にアルバイトやボランティアの中で実際に何か自分がやってみたことはありますか?」ときくと、答えがない。「他の先生の関わりを見てそう思っただけです。」と、ただ思いを持っただけで終わってしまっていると少し残念な気持ちになります。

感情をアクションにつなげているかどうかという観点は大切にしています。

 

将来の“やりたい”を掘り下げる理由とは?

Q. 「志望動機」の話がでましたが、どのように評価していますか?

「志望動機は何ですか?」という聞き方はしないです。

「将来、どういうことがやりたいですか?」「どういう人間になりたいですか?」ということはきいています。

そこから学生が目指している世界観に対して「社会にはどんなリソースがあると認識していますか?」「LITALICOにはどんなシナジーを感じているのですか?」と掘り下げています。それは正しい、正しくないとかの話ではなく、その学生がどう考えているのかという思考の部分が知りたいだけです。

また、会社に合わせる形での志望動機が欲しい、という話ではなく、自分のやりたいこととの紐づけを自分の言葉でどう表現するのかを聞きたいんです。

それが「志望動機」だと言われたらそうですね。笑

自分のモチベーションの管理のみならず、他者のモチベーションのマネジメントに早期で携わっていくような環境が前提としてあるので、日々起こる事柄や経験を自分なりに思考・解釈して、自分の目指す方向、ありたい姿を自分の言葉で意義付けできる方のほうが働きやすい環境だと思っています。

 

Q. 具体的に評価した例を教えてください。

先ほどの「人の心のすっきり度をあげる」というビジョンを人生をかけて達成していきたいという思いを持った内定者の志望動機は印象に残っています。

そのビジョンを達成するための手段の一つとして、弊社の事業を捉えてくれていました。

具体的には、LITALICOではLITALICOワークスという就労移行支援事業を通じて、現状働くことに困難さのある人の人生とキャリアに向き合っていくという“個に対するアプローチ”を、プロフェッショナルとしてとことんやっていきたいと思い受けてくださっていました。

他には、心のモヤモヤが発生する原因となりうる“組織全体に対するアプローチ”もしたいという思いもありエグゼクティブ層へのコンサルティングという職種も手段の一つとして考えているという方でした。

社会を俯瞰して捉え、どこで人の心にモヤモヤが生じるのか構造化し、LITALICOの事業内容の社会的な意義を自分なりに解釈できていて、そこに繋がる自分の思いが言語化されているということが内定に繋がったのではないかと思います。

 

自社らしさを表す“質問”とは?

Q. 企業のカルチャーが色濃く浸透している御社で、拘っている質問はありますか?

事業部によってこだわりポイントは多少色が異なりますが、中でも他者との関わり方のエピソードは共通してよく聞いているかもしれません。

業務としてもチームで何かに取り組むことが多く、「人に対する優しさ」を大切にしている会社なので、「人から受けてきた優しさをキャッチできているか」を知りたいんですよね。

成果を出したことに対して、「他の人からどのようなフィードバックもらったんですか?」 ときいていても答えがない人もいます。めちゃくちゃ成果が出ていても、他者への関心が全然出てこないと、一人でやりきる力はあるのかもしれませんが、他者との協同やそこからの成長はちょっと難しいのかな・・・と想像してしまいますね。

 

働くを見据えて“今”やるべきこと

Q. 働くや就活に向けて、学生時代にやっておくべきことは?

大学生活の中で自分の興味・関心があることをやりきってみることです。何かをやりきることで、その難しさや自分の足りなさを痛感し、本当にやりたいことであればさらにそこから成長が出来ると思うからです。

そしてその経験を通して、実はそんなにやりたいことじゃなかったと気付けることも非常に大切だと思うのです。

自分の声を無視しないで、楽しく大学生活を送ってほしいです。

 

 

編集後記

会社の採用フローや面接でおける質問の背景には、その会社が大切にしたい価値観やこだわりが隠されているものです。

就職活動が本格化した際、その企業の価値観に自分を合わせるのではなく、興味関心や自分のやりたいこと・ありたい姿などから、「その企業で何が実現できるのか」を言語化することができると、入社後「こんなはずじゃなかったのに・・・」という想いをすることはなくなるのではないでしょうか。

ぜひ、自分らしいキャリアをつくるための新たな一歩を踏み出せるといいですね。