アパレル業界のアダストリアの面接官が語る、就活前に準備してほしいこと

『さよなら、就活対策』

「貴重な4年間を“就活対策”で、消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白"

今回インタビューさせていただいた(株)アダストリアは、“GLOBAL WORK” “niko and…”  “LOWRYS FARM”などのブランド、国内外約1400の店舗をもつファッションSPA企業です。

「服を売る」だけでなく、ファッションという切り口で様々な商品展開、サービスを提供しています。

人気のアパレル業界で活躍する人材になるために必要な観点とはなにか?就活で後悔しないための大学生活のヒントには? 将来のキャリア選択における参考にしていただければと思います。

※SPAとは、商品の企画から生産・販売まで一貫して自社で行うビジネスモデルのこと

会社プロフィール:(株)アダストリアは、国内だけではなくグローバルに存在感をもち、SPAの仕組みを背景とするマルチブランド戦略を強みに、アパレルだけでなく様々なカテゴリーを展開することで、一人ひとりの毎日に「もっと楽しい」選択肢を提供することを目指す企業です。
面接官プロフィール:
・人事部 新卒採用担当 西山 
自分の強みを活かして活躍できる企業を求め、2013年に新卒入社。関西の店舗にて配属になり、3年で店長に昇進。増床リニューアルオープンを経験した後、人事部に異動になり、現在は新卒採用担当リーダーとして採用領域における広報活動から採用、入社までのサポートや育成を担当している。

・人事部 マネジャー 富永
2005年新卒入社。関西の大学を卒業し、愛知県の店舗へ配属。店舗スタッフ・店長を経験し、人事部へ教育研修担当として異動。社内研修講師やブランド内教育担当などを経て、現在は店舗採用チームのマネジャーとして新卒採用・中途採用・アルバイト採用などを担当している。

アパレル業界で求められる人材とは?

Q. アダストリアで求められている人材ってどんな人ですか?

西山さん:弊社ではファッションとはアパレルに限られたものではなく、文化や生き方、ライフスタイルなど人によってさまざまな可能性をもっているものだと思っています。我々、アダストリアは「Play fashion!」をミッションに掲げており、これはファッションによって人々の心を豊かにし、幸せにするという使命を意味しています。

これまで、変わり続ける事業環境や時代に合わせてビジネスモデルを変革することで、お客さまにワクワクを届けてきました。

その中で、「相手の立場を考えて行動できる」「チャレンジマインドを持っている」「何事も楽しむことができる」そんな要素をもった人材を求めています。

Q. その中で、新卒採用にあたって何を大切にしていますか?

西山さん:就活生との“相互理解”を大切にしています。

勿論、会社のいいところは伝えていますが、それだけでなく、課題やマイナスな部分も含めてリアルをお伝えしています。

具体的には、説明会や面接においても、不安や質問に答える機会を多くつくり、入社後の活躍イメージをお互いに湧かせられるようにしています。

富永さん:当たり前のことかもしれませんが“嘘を言わない”。リアルを伝えることで入社後のギャップが生まれないようにしています。

 

ESから伝わる第一印象?

Q. エントリーシートはどのように評価しているのですか?

西山さん:まず大切なのは“第一印象”ですね。

面接前にエントリーシート(ES)を提出していただくのですが、そこで相手のことを考えて動ける人かどうかというところをみています。パッと見て「ESから伝わる印象」があるんです。

ESの中に意図的に手書きの部分を設けているのですが、字の綺麗さや書き方の工夫から、「読む人の気持ちを考えているかどうか」を評価しています。

富永さん:そうですね、第一印象がとても大切です。エントリーシートの中で「自分の人生グラフ」を作ってもらっていますが、人によってそこから伝わる印象がかなり違います。

弊社の選考では、「エントリーシート」「グループディスカッション」「面接」の順で進んでいくのですが、面接の中でもエントリーシートを用いていて選考を行っています。面接で伝えたいことは書いておくといいと思います。

 

Q. グループディスカッションではどのように評価しているのですか?

西山さん:弊社は、店舗はもちろん、本部も、チームで動いていくことが多いです。その中で、意思表示することも、相手を尊重することも重要です。

だからこそ、グループディスカッションの中では、どのようにチームに貢献できているかどうか、その人なりの“役割”を評価しています。

富永さん:発言をしないと評価はできないですが、たくさん発言しているからいいわけではありません。私も、議論している中で感じる“協調性”に注目しています。

誤解されている学生の方も多いのですが、協調性は「否定的なことを言わない」ということではなく、「人とコミュニケーションをとりながら成果を出せるか」と定義しております。

 

ガクチカは“人生”という軸で評価

Q. 面接において「学生時代頑張った経験(ガクチカ)」については、どのような評価をしていますか?

西山さん:人生の経験から何を得たのか、それをどのように乗り越えたかを評価しています。人生グラフ全体の中で強みがつくられるきっかけになったことを聞いています。

そのきっかけは、サークル、部活、インターン等々、経験の大きさは問いません。

富永さん:面接においては、人生における経験を踏まえて、入社後どのようにその“経験”を活かせられるかまで伝えられると100点に近いですね。

Q. 面接の中で、評価が難しいと思うことは?

富永さん:「自分を“うまく”言おうとする」パターンですかね…。面接官は、その場で取り繕って伝えていることはすぐに察知します。「本音でない」と感じた場合は評価が難しいですね。

西山さん:私も、「面接は準備してこないで」と言いますね。笑 面接の場って、鎧をかぶっている人が多いんですよね。

弊社の面接はかなりフランクだと思うのですが、それは本音で話せる空間をつくることが目的です。事前に知識・情報を収集することが“ダメ”というわけではなく、その収集した知識・情報を自分の頭で咀嚼して伝えられているかが大切です。

 

「なりたい」志望動機はNG?

Q.「志望動機」って、ぶっちゃけ企業に自分を合わせてくる学生も多いと思います。「志望動機」で大切にしていることは何ですか?

西山さん:正直、志望動機を特別評価していません。弊社のミッションが比較的わかりやすいこともあってか、志望動機を聞くとみんな同じようなことを話されるので(笑)

テクニック的なところになってきてしまいますが、Missionである「Play fashion!」という言葉そのものを使わずに、自分なりの言葉で表現してくれるが学生はいます。その場合は志望動機というより、自分の言葉で“表現する力”を評価していますね。

富永さん:志望動機では、差がみえにくいですね。そういう意味では、ガクチカ(学生時代頑張った経験)のほうが評価の優先度は高いかもしれません。

逆に、残念だなと感じる志望動機は「店長になりたい」「商品企画(MD)の仕事がしたい」など、その職種になることが目的になっている場合です。

その職種の先に「こんな人たちにこういう商品を届けたい」とその職種になって、何を実現したいかを自分の言葉で語れると魅力的にうつりますよね。正直、職種に就くことが目的になってしまうと寂しいなと感じてしまいます。

その先に「誰に、どんな価値を届けたいのか」ということを大切にしてほしいです。

 

ハタチ世代に伝えたいこと

Q. 最後に、就活前の大学1、2年生のうちにやっておくべきことはありますか?

西山さん:これを勉強したほうがいいということはありませんが、「本気で頑張った経験」をひとつでも多く増やしてもらいたいなと思います。

「遊ぶ」を、「好きなこと」を、本気で取り組んでもらいたいですね。

本気で考えた経験がある人は、それなりの悔しい想い、達成感を感じていると思うんです。その経験が必ず社会に出ても活きてきます。弊社では、そういう人材が活躍していますし、私自身も、そういう人と働きたいと思っています。

富永さん:アパレル業界、という目線で言うと消費者としての経験をたくさんしておいてほしいなと思います。

「売る側」「作る側」の仕事をしていると、消費者としてお店に行ったとしてもすべてを売る側で見てしまって色々気になってしまうんですよね。それってある意味、自然なお客様視点ではない気がしていて。

「買う側」「使う側」の経験をたくさん積んでおくと、仕事をする上でお客さま目線や相手のことを考える引き出しを持つことができると思います。

 

編集後記

面接の場では「鎧をかぶっている人が多い」という言葉にもあったように、「自分をよくみせよう」となってしまう就活生が多いです。

企業に合わせて取り繕って入社した先に、“自分”と“企業”の両者にとってHAPPYではない可能性は高いでしょう。

学生時代の経験値を増やしてと言葉にできれば、面接へ向けての準備や対策をする必要はありません。

就活になった途端に、「鎧をかぶる必要のない自分」でいられるよう、自分らしいキャリアをつくるための経験へ一歩踏み出してみましょう!