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『さよなら就活対策』
「貴重な4年間を“就活対策”で、消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白" 。
今回インタビューした株式会社ワコールは、「世界中のあらゆる人々の豊かな生活に貢献する」ことなどを目指す、女性用のインナーウェアを中心に展開する日本の大手下着メーカーです。
“美”に感心のある就活生を中心に人気が高いワコールのESや面接において、何が求められるのか?学生時代の時間の使い方はどうあるべきか?
大学生活やこれからの就活を考えるにあたっての参考にしてくださいね。
3~4割通過?!エントリーシートの評価ポイントは?
Q.選考フローとこだわって聞いている質問を教えてください。
選考フローはエントリーシート→適性検査→一次面接→最終面接です。エントリーシート(以下ES)では、“答えのない問い”に向き合う経験についてこだわって聞いています。実は、ESを通過できる学生はおよそ3割程度です。
Q.7割の学生はESで落ちてしまうのですね...!ESの評価ポイントを教えてください。
ESでは、“答えのない問い”に向き合う経験を言語化できているかどうかと、“問いの意図”を汲み取れているかに注目しています。
“答えのない問い”と向き合う経験に注目!
Q. “答えのない問い”と向き合う経験とは、具体的にどのようなことですか?
問いに向き合って自分の言葉で語れているのであれば、どのような問いでもかまいません。過去には、ジェンダー問題といった抽象度が高い問いに対し、他者と共有・議論する時間を持ったという経験やアルバイトで生まれた身近な問い「新人育成を強化するには?」といったテーマもありました。
Q.どんな“問い”であるかは、評価とは関係ないんですね...!では、どういった点に注目して見ていますか?
絶対的な答えがない中で最適解を導き出すため「どう考えて、どのような行動をしたのか?そしてその結果を経て、次にどんなアクションをとりたいのか?」を聞いています。さらにその先で、「どうワコールで実現していきたいか」を見ています。
ワコールでは、チームで働くことが基本ですので、一人で考えるだけよりは、誰かと協働して他者を巻き込んだ経験があると良いです。
エントリーシートの“問いの意図”を汲み取れているか?
ワコールでは、社員は常に「お客様が何を欲しているか」を言語化する必要があります。そのため、学生時代から「ESで会社側が学生に対して何を求めているのか」を理解し、相手に伝わるよう言語化できているか?にも注目しています。
「相手に自分を知ってもらう」ためにはどうすべきか、問いの本質を理解し論理的に伝えることが評価に繋がります。文字制限がある中で、わかりやすく言語化・かつ構造化できるか?ぜひ挑戦してほしいポイントです。
メーカーだからこそ問われる“熱意”の重要性とは
Q.「ワコールの商品が好き!」でないと、採用されませんか...?
必ずしも商品が好きである必要はありません。ただし、メーカーだからこそ、“熱意”は必要だと考えています。
“商品のファン”でなくて良い
単に商品が好きな“だけ”では評価されません。「女性をエンパイヤーしたい」「ものづくりへの姿勢に共感した」など、ワコールの価値観や理念などへの共感を具体的に語ってくれる方、「〇〇な理由でこの商品が好きで、良さをもっと世の中に伝えたい」と伝えてくれる方は印象に残っていますね。営業・生産・販売など、どの部署で働くにしても伝えたい熱意は必要になってきます。
Q.具体的に、こんな“熱意”を持った学生がいた!という印象的なエピソードはありますか?
「女性をサポートができるサービスに携わりたい」という男子学生がいました。彼は母親の家事・仕事をする姿を見て、働く女性の大変さを知り、そのような思いに至ったようです。当事者意識を持ち、“働く女性の環境整備に携わり、社会を良くしていきたい”という彼の熱意が印象的でした。
壁にぶつかった時のエンジンの1つに
Q.なぜ企業理念への共感や熱意が重要なのですか?
会社への共感や熱意があるのとないのとでは、社会人になって得られるスキルの度合いや発揮される能力が異なるからです。仕事で壁にぶつかった時「ワコールが好きで」や「経営理念に共感して」という思いがあれば「自分が好きで選んだからもう少し頑張ろう」という前を向く気持ちが湧いてきます。
Q.辛いときを乗り越えるモチベーションに繋がるんですね。
例えどんなに優れたスキルを持っていても、会社に対して思いがないと力は発揮されません。
ワコールは今、既存の枠組みをゼロベースで見直して新たに作るステージにあります。関係各署飛び越えて改革していく中で、「商品や会社をより良くしたい」「こういう価値を伝えたい」という思いがあれば、その思いがエンジンとなり、入社時は能力に差があっても、経験値で能力を身につけられると思っています。
面接の評価ポイントとは?
Q.面接ではどのような点に注目していますか?
「入社後のイメージが具体的か」「チームでの視点があるか」「課題解決のプロセスが適当か」という点を主に見ています。
面接の評価ポイント①入社後のイメージが具体的にできるか?
Q.過去にどんな学生を評価しましたか?
セールス志望の学生で「ものが溢れている中、この商品の〇〇な価値を伝えたい。ただし、現状では△△な点で欠けている部分もあるので改善していきたい」と、具体性を持ってワコールで実現したいことを話してくれた学生がいました。実際にセールスで働く姿が想像でき、印象に残っていますね。
面接の評価ポイント②チーム視点があるか?
Q.学生のどのような姿勢から、チーム視点があるかを見ていますか?
「自分らしさが発揮できる環境」と、逆に「発揮できない環境」を聞いています。ワコールはメンバーと一緒に成果を出していく会社です。だからこそ、チームの中で自分がどう貢献するかという視点があるかどうかを見ています。
ワコールのミッションにあるように「自分らしさ」を生かして働いて欲しいと考えています。どんなに素敵なスキルを持っていても「個人の成果、第一主義」の環境でないと力を発揮できないなど、その人にとって力を発揮できない環境であれば採用しません。
面接の評価ポイント③学生時代どのような目的意識で課題解決したか?
面接では「リーダーシップを持って課題解決したエピソード」を聞いています。
Q.チームのリーダーでなければいけないのでしょうか...?
役割は関係ありません。むしろ、リーダーシップのあり方について、「どういうリーダーシップなのか」「周囲へどのような影響力を発揮したのか」を答えてもらいたいと思っています。
Q.派手なエピソードでなければ評価されませんか?
身の回りの小さいことでも、どのような課題を設定してリーダーシップを発揮し課題を解決したのか、そのプロセスを見ています。例えば、「部活の退部0人にした」というエピソードの場合、そもそも「なぜ退部0人にする必要があるか?」といった課題設定の理由や意図が明確かどうかも重要です。
フラットな面接で学生の本音を引き出す
Q.面接の中で意識していることはありますか?
できるだけ学生がリラックスして話せるように心がけています。「評価する」「評価される」という関係ではなく、対等に学生が本音で会話できることが重要だなと思っています。
ハタチ世代へのアドバイス
Q.最後に、就活や大学生活のアドバイスをお願いします。
誰にでも意思を持って選択し、取り組み、やり遂げた経験があるはずです。それは、1位になった、売り上げを3倍にした、など大きな成果がなくてOKです。“やり遂げた経験”を深掘りし言語化してみてください。
無理して会社に合わせる必要はありません。必ず自分にフィットする会社があります。企業研究を幅広く行い、社会人にたくさん会ってほしいと思います。
もう一つは、商品やサービスにたくさん触れて体感してみてください。学生ならではの感性で疑問に思うことがあるはず。学生時代のお客様体験が、社会人になって作り手になった際のものづくりに活きてきます。
編集後記
これまでのワコール様への取材で、自社製品・自社愛が強く、仕事に誇りを持って働くワコール社員の方々に出会ってきました。企業理念への共感や会社への熱意は、お客様へ価値を届けるモチベーションに繋がる。だからこそ、採用でも“熱意”を評価軸にされていることに非常に納得感がありました。
また、「ひとりひとりが自分らしく美しくいられるように」を体現するように、面接では学生の“その人らしさ”を尊重し、対等な関係で真摯に向き合う姿勢が印象的でした。面接では、学生が評価されるものと考えられがちですが、就活突破のために鎧を被ることは、就活生にとっても企業にとってもハッピーではありません。
ぜひ、これを機に、等身大の自分でこれまでの経験を思い返し、言葉にすることから始めてみてください。