知りたいのは「あなたらしさ」。“素”を引き出すタカラスタンダードの面接で人事が見ているポイントとは?

「さよなら就活対策」

「貴重な大学生活を“就活対策”で消耗していませんか?」誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す“面接官の告白”。

今回お話を伺ったタカラスタンダード株式会社は、創業から110年以上、「ホーロー」にこだわった住宅設備で人々の暮らしを支えています。

今回は、入社以来一貫して人事部に所属し、多くの学生を見てきた出立美智さんに「選考で見ているポイント」「今からできる就活準備」について詳しく伺いました。

大学生活をどのように過ごし、ファーストキャリアを迎えるのか。自分のこれからを考えるにあたっての参考にしてみてくださいね。

タカラスタンダードの“個を見る”採用活動とは

Q. タカラスタンダードの採用活動のこだわりを教えてください。

私たちが採用活動で一番大切にしているのは、学生さん一人ひとりの“個を見る”ことです。

エントリーシートだけでは分からない部分も多いので、まずは面接に来ていただいて、その場で人となりを知っていきたい。そういう思いから、面接は必ず1対1で実施しています。

Q. 必ず1対1で面接というのはすごいですね。

私が就活生だった10年ほど前からそのスタイルだったので、おそらく長く続いてきたやり方だと思います。

若いうちから自分で考えてチャレンジさせてもらえる社風だからこそ、“その人自身”を知りたいというのが背景にあるのかなと。入社後に自分らしく働いてもらうためにも、面接の場はとても大切にしています。

選考での評価ポイント

エントリーシートで見るのは「企業理解」と「打ち込んだ経験」

Q. エントリーシートの評価ポイントを教えてください。

エントリーシートは、あえてハードルを低くしています。その中でも見ているのは、「タカラスタンダードのことを最低限理解しているか」「何かに打ち込んだり、好きなことを追求したりした経験があるか」という部分です。

たとえば、基本的な部分ではありますが、住宅業界はBtoCのイメージが強い中で、タカラスタンダードはBtoBだということを理解しているか。そこを押さえずにピントのズレた内容が書かれていると、理解不足という評価になってしまいます。

Q. 面接ではどのようなポイントを重視していますか?

面接は人物重視ですね。どういう人なのか、入社した場合に個性を発揮できそうか。そこがイメージできるかどうかは重要なポイントだと思います。

出来るかぎり素の部分を見たいので、本音で話してもらえると嬉しいです。考えや経験を自分の言葉で話してもらうと、その人の個性が見えてきやすいなと思います。

Q. 素の部分を引き出すために、どのような質問をされますか?

「やっていて一番楽しいことは何ですか?」「かっこつけずに言うと何が一番好きですか?」といった質問をすることが多いですね。特に緊張している学生さんには序盤で聞いたりします。

好きなことって話しやすいと思いますし、それを話しているときが一番その人らしいなと思うので。

タカラスタンダードで求められる「粘り強さ」「自分で考える力」

Q. スキル面で重視しているポイントはありますか?

粘り強さや、自分で考えて行動できるかといった点は重視しています。

タカラスタンダードの営業は、値引きをしないのが特徴です。その分、製品の魅力と自分の提案力で戦わないといけない。となるとやはり、足繫くお客さまのところに通ったり、何度も提案を差し上げたりということが、他社の営業に比べて多いと思います。

技術職に関しても、実はホーローって作るのがすごく難しいんです。たとえば、木材であれば普通に作れるものも、ホーローで作ろうとするとうまく組み立てられなかったり。焼き物なので若干歪んだり膨らんだりすることがあって、設計図どおりにはいかないことも多いんですよね。

タカラスタンダードでしかできない仕事なのですごく面白いと思うのですが、やはり粘り強さは必要になってきます。

Q. 「粘り強さ」「自分で考える力」の有無をどのように見極めるのでしょうか?

エントリーシートでも面接でも、「これまでに打ち込んだ経験」についてのエピソードから判断しています。

たとえば「サークルでこんな役割をつとめていた」という話であれば、活動の中でどんな課題があったのか、それに対してどのように考えて行動したのか、といった点を深堀りするようにしています。

「粘り強さ」というと“長く続けること”をイメージするかもしれませんが、必ずしもその必要はありません。経験の長短よりも、どのように課題と向き合ってきたかという点に注目しています。

志望動機よりも重視するのは「人となり」

Q. 志望動機は重視されますか?

志望動機は、確固たるものがなくても大丈夫です。

面接では、今どういう会社を受けているのか、どういう働き方をしたいのか、といった話をまずは聞いていきます。その中で自分から志望動機を話してくれる学生さんもいますが、結局出てくるのはホーローの話が多いんですよね。

それよりもパーソナルな部分を知りたいと思っているので、志望動機は確認程度で聞いている、という感じです。

「好き」を語ってほしい!印象に残る面接エピソード

Q. 印象的だった学生さんはいましたか?

「好き」を追求した学生さんは印象に残りますね。

以前、面接でよさこいの話をしてくれた方がいました。高校生のときによさこいを見て勇気をもらい、自分も踊る側になりたい!と思ったそうです。でも自分の家の周りにはできるところがなかったから、思い切って関西の大学を受けることにして。

両親には反対されたけど、生活費も自分で稼ぐと約束して、バイトもよさこいも学業もやりきったというエピソードを話してくれました。その子はタカラスタンダードに入社して、今とても活躍しています。

ただ、必ずしも「やり遂げた話」でなくてもいいんです。まだ成果が出ていなくても、いま熱中していることについて話してくれた学生さんもいました。好きなことを楽しそうに話している姿を見ると、魅力的だなと感じます。

Q. 逆に、評価しにくいケースはどんなときですか?

面接が終わった後に、「こういう人」というのが言語化できないときですかね。学生さんの人となりを知った上で、タカラスタンダードで活躍できそうかを見ているので。面接の中でその人らしさが伝わってこないと、合も否もつけられないんです。

あとは、ちょっと厳しいことを言うようですが、タカラスタンダードじゃなくてもいいんじゃない?と思ってしまうこともあります。タカラスタンダードってすごく分かりやすい会社なんですよ。ホーローを扱っていて、適正価格で値下げしない。ショールームで実物を見たうえで、納得して購入いただくことを大切にしている。これだけ特徴があるのにあまりマッチしないときは、ちょっと難しいかなと思います。

製品への誇りと仕事への責任感

Q. テーマ・カルチャー・スキルの3つのフィットのうち何を大切にしていますか?

そうですね…テーマとカルチャーは大事だと思います。

住宅設備というのは、お客様にとって一生に一度というくらいの大きい買い物ですよね。設備の質の良し悪しによってお客様の生活の質も左右されてしまうので、とても責任の大きい仕事だと思います。

だからこそ、私たちはどこよりも良い製品を作っているという自負があるので、そこに誇りを持ってお客様に提供できるか、責任を持って仕事ができるか、というのは大事です。

また、“自分の仕事がお客様の生活の豊かさにつながる”というところに共感できているかどうか。これもすごく大切ですね。

今からできる就活準備

Q. ファーストキャリアを考えるうえで、就活時におさえておくべきポイントはありますか?

「その会社でしかできないことがあるか、それが自分と合っているか」は大事だと思います。世の中にはいろんな会社があって当然差別化されていますが、会社が売りにしているポイントが自分とマッチしていないとしんどいと思います。

それから、採用担当の人柄で会社を選ぶのはオススメしません。素直な学生さんほど「採用担当がいい人だったから」と入社を決めることも多いように思いますが、採用担当と一緒に働くわけじゃないですからね。会社の中身だったり、実際に一緒に働く社員をしっかり見てほしいなと思います。

Q. 今からできる就活準備はありますか?

一般的な自己分析などのほかに、日常の中で企業研究をすることでしょうか。CMで見る企業や大企業が目につきやすいとは思うのですが、それ以外にも企業はたくさんあります。

たとえば私がやっていたのは、街で気になる看板を見つけて、何の会社だろう?と調べてみること。身近なものをきっかけにいろんな企業を知ることができるのでオススメです。

Q. ほかにご自身が取り組んでよかったことはありますか?

社長のカバン持ちです。1週間くらい社長に付き添って、商談に同席したり、懇親会に参加したり、名刺交換したり。マナーが身につくのはもちろんですが、働くイメージがすごくリアルになりました。

私、仕事ってつまらないものだと思っていたんですよ。働いてお金を稼いで、そのお金で私生活を充実させるのが働く意義なのかなと。

でも、本当に楽しそうに働く社長を間近で見ていると、仕事って無味乾燥なものじゃないんだな、というか。人がいて、血が通っていて、誰かのためになるものなんだと感じました。

カバン持ちまでしなくても、社会人の方と接する機会を持つと、仕事の捉え方が変わってくるかもしれません。

大学は学びのサブスク。思い切り学べる4年間を大切に

Q. 大学生活でやっておくべきことは何でしょう?

しっかり授業を受けてほしいです。社会人になってからも学ぶ機会はありますが、自分の仕事に必要な“手段になる”学びが多くなるように思います。

大学では、興味のある授業を選択できて、その分野の専門家に気軽に話を聞ける。今思えばすごく贅沢な環境だなと。いわば学びのサブスクの場だと思うので、サブスクは使い倒さないともったいないじゃないですか(笑)

大学でしっかり学んだ経験は、業務内容に直結しなかったとしても、仕事への姿勢に必ずつながってきます。ぜひ、この4年間を大事にしてほしいです。

編集後記

“就活のための大学生活”ではなく、学びや好きなことを追及すること。“借りてきた言葉”ではなく、自分の言葉で話すこと。

今回のインタビューを通して、自分らしいファーストキャリアを選ぶために大切なことを教えていただきました。

あなたの好きなことはなんですか?

よく学び、自分を知り、あなたらしい道を歩んでいけるよう願っています!