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『さよなら就活対策』
「貴重な大学生活を“就活対策”で消耗していませんか?」
誰も教えてくれない「面接の裏側」を紐解き、大学生活そのものを問い直すシリーズ“面接官の告白”。
今回インタビューしたのは、全国で専門学校・大学・高校などを運営する学校法人三幸学園です。
学生のどこを見て、どんな人を迎えたいのか。採用担当の上田さんと、2年前に選考を受け、現在は現場で活躍する落合さんに、教育者として譲れない視点を語っていただきました。
三幸学園の採用で一貫している問いは、「優秀かどうか」ではありません。
「この人と、一緒に働きたいか。」
生徒と向き合い、チームで学校をつくっていく仕事だからこそ、この問いを、選考のすべての場面で大切にしています。では、その判断をどのフェーズで/どんな視点から行っているのか。採用のプロセスを分解しながら、ひも解いていきます。
人事は面接をしない?現場が見ている「一緒に働きたいか」の真意

Q.新卒採用のこだわりとして「人事は面接をしない」というのは本当ですか?
上田さん:本当です。最終面接(理事長面接)以外は、基本的に現場の教職員が面接官を担当します。現場の責任者や、実際に生徒と向き合っている職員が出てくる形です。
Q.なぜ人事ではなく現場の方が面接を担当するのでしょうか?
上田さん:私たちは「この人と一緒に働きたいか」という肌感覚を大事にしています。
人事がきれいな言葉で会社を語るより、実際に現場で汗をかいている職員と話したほうが、お互いにミスマッチが少ない。
「この人とチームで働きたいか」「この人と一緒に生徒を育てたいか」。この判断は、現場で働く者が最も的確に行えると思っています。
Q.落合さんは2年前に面接を受けられたそうですが、当時の印象はどうでしたか?
落合さん:選考を通して、入社後のイメージが湧いたのを覚えています。入社前は「学校の先生」というイメージが強かったんですが、実際は生徒対応だけでなく、広報や就職支援など、一人の教職員が担当する業務の幅が広く、与える影響範囲も想像以上に大きいことに驚きました。
上田さん:そういう現場の空気感への反応も含めて、学生さんの「素」の部分を見たいと思っています。志望動機をガチガチに固めてくるより、対話の中で素直な自分を出してほしいですね。
1次・2次・最終選考で、面接官は何を見ているのか?
Q.選考フェーズごとに見ているポイントに違いはあるのでしょうか?

上田さん:あります。1次は「コミュニケーションの質」、2次は「体現したいという意志」を見ています。
1次:コミュニケーションの“質”
上田さん:コミュニケーションと言っても見ているのは、流暢に話せるかではありません。生徒や保護者、地域企業の方など、多様な人と関わる仕事なので、「相手の意図を汲み取れるか」「自分の想いを相手に伝わる言葉で届けられるか」——。信頼を築くコミュニケーションの土台を確認しています。
落合さん:相手の期待が明確じゃない場面でも「じゃあどうする?」と最適解を考えられる姿勢は確かに現場で当たり前にもっていたい感覚かもしれません。
上田さん:まさに。リーダーシップだけでなく、周囲と調和して場の空気を良くするフォロワーシップも重要だと思います。どちらか一方に偏ることなく、チーム全体の成果を最大化するために、周囲と協調しながら自らの役割を適切に果たせるバランス感覚と、状況判断能力を特に重要視しています。
2次:理念への共感と“熱量”
上田さん:2次では、理念を理解した上で、それが自分の価値観とどう重なるのか。表面的な理解じゃなくて、「なぜここでやりたいのか」という本気度を、役員クラスの目線で見ます。理念を自分事として捉えているかを重視しています。
落合さん:熱量って、「かっこいい成果」を語ることじゃないと思うんです。むしろ「泥臭いプロセス」や「仲間への思い」を聞きたい。「このメンバーで勝ちたくて、一人ひとりに働きかけました」というような、泥臭く動いた過程を自分の言葉で語ってほしいです。
最終:トップと確かめ合う“覚悟”
上田さん:最終面接は必ず理事長が対応します。法人規模が何千人規模になっても変わらないこだわりです。トップ自らが一人ひとりと向き合い、「この人と一緒に未来を作っていけるか」を確かめ合っています。
「自分のため」だけの成長はいらない。三幸学園にはフィットしない人
Q.逆に「こういう人は三幸学園には合わない」という特徴はありますか?
上田さん:はっきり言うと、ベクトルの向きが自分にしか向いていない人は合いにくいと思います。
Q.ベクトルが自分に向いている、とは?
上田さん:「自分の成長のために」という言葉ばかりが出てくる人ですね。成長意欲は素晴らしい。でも、三幸学園において自己成長は「目的」ではなく「結果」なんです。私たちの仕事は「生徒のために」「チームのために」動くことが大前提なので。
落合さん:現場でも、うまくいかないことがあった時に「環境が悪かった」「運が悪かった」と言い訳を探してしまう人は、ちょっとしんどそうに見えます。「どうすればできるか」より「できない理由」を外に探してしまうと、生徒の心も動かせないし、チームで連携するのも難しくなります。
上田さん:「他者のために動いた結果、自分が成長していた」。この順番で考えられる人じゃないと、三幸学園の文化にはフィットしないかもしれません。
スキルより「在り方」。不測の事態でこそ現れる「素」の誠実さ
Q.選考で印象に残っている学生さんはいますか?
上田さん:実は、落合さんの面接時のエピソードが印象的です。オンライン面接中に回線トラブルが起きて、音声がほとんど聞こえなくなってしまったんです。
落合さん:あの時は本当に焦りました。「あ、もう落ちた」と絶望しました(笑)。でも、結果としては無事に通過しました。聞こえない中でも必死に状況を伝えようとする姿勢、最後まで諦めず、誠実に対応しようとする態度がよかったと言ってもらえました。
上田さん: 不測の事態でこそ現れる「素」の誠実さが伝わったんだと思います。教育現場って、予期せぬトラブルは日常茶飯事です。その時に言い訳して逃げるのか、誠実に向き合って解決しようとするのか。スキル以上に、その「在り方」を見ています。
その情熱は、周りに伝播するか?

Q.三幸学園で成長し、長く活躍できる人の共通点は何だと思われますか?
上田さん:3Fitでいうところの価値観、カルチャーがマッチする方だと思います。それは、何かに情熱を持ち、それを周囲に伝播させられる人ですね。
教育は、心を動かす仕事です。担任が「なんとなく」仕事をしていたら、生徒の心は動きません。まず自分が本気で取り組み、楽しんでいること。その熱量は必ず周りに伝染します。
落合さん:私の職場でも、「もっと良くできるはずだ」「ここを変えたい」と自ら動く先輩がたくさんいます。前例踏襲じゃなくて、現場をより良くしようとする情熱を感じます。
ハタチ世代へのメッセージ

Q.大学生・就活生に向けて、メッセージをお願いします。
落合さん:私自身、学生時代に「これだけは頑張った」と胸を張れる経験が自信になりました。まずは自分が何に情熱を注げるのか、いろんなことに挑戦して見つけてほしいです。
上田さん:「自分らしさを言語化すること」と「一人ではできないことをチームで成し遂げる経験」をしてほしいです。
自分らしさの言語化は、机に向かっているだけでは見えてこない。一生懸命何かに打ち込むことで見えてくると思います。立派なエピソードじゃなくて構いません。そして学校は一人では作れません。チームで何かを成し遂げて、「一人ではできないことの楽しさ」を学生のうちに知ってほしいです。
編集後記
教育とは、心を動かす仕事ーー。
上田さんのこの言葉が、取材を終えた今も強く心に残っています。
誰かの心を動かすために必要なのは、流暢なトークスキルでも、完璧なロジックでもない。評価されるための行動ではなく、目の前の人や場を少しでも良くしようとする在り方。その積み重ねこそが、教育の現場で信頼を生み、人の心を動かしていくのだと感じました。
就活対策を完璧にするより、まずは、誰かのために情熱を注いだ経験を大切にしてみてください。その延長線上に、あなたらしさとキャリアが育っていくはずです。




