就活ガクチカ評価のマスト質問3つ!? ITベンチャー人事が語る、面接官の本音@セーフィー(株)

『さよなら、就活対策』

「貴重な4年間を“就活対策”で、消耗していませんか?」

誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す“面接官の告白”。今回は、セ―フィー(株)の人事、金さんにお話を伺いました。

今回インタビューさせていただいたセ―フィー(株)は、2014年10月の設立から、 手軽につかえる映像サービスを開発・提供し、クラウドカメラサービスとして業界シェアNo.1(※)を達成している企業です。2023年より新卒採用を開始したというセーフィー。採用へのこだわりと評価軸、大学生活でやっておくべきことなどについて伺いました。

(※)テクノ・システム・リサーチ社調べ「ネットワークカメラのクラウド録画サー ビス市場調査(2022)」より、エンジン別カメラ登録台数ベースのシェア(56.4 %)

 

会社プロフィール:「映像から未来をつくる」というビジョンのもと、あらゆるテクノロジーが活きる、企業から個人まで誰もが使える映像プラットフォームを提供している。クラウド録画型映像プラットフォームを、自社あるいはパートナーとともに開発・運営している。
面接官プロフィール:金 美素さん。学生時代の学生団体の経験から、“自分が最強に働きやすい組織を作りたい” という思いを持ち、人事職を目指すようになる。2018年にデジタルマーケティングツールを提供するSaaSベンダーに入社し、営業職に就いた後、念願叶って人事職に異動。2023年、人事採用担当としてセーフィー(株)に入社し、主に新卒採用を担っている。

 

新卒採用で大事にしていること

Q. 就活の仕組みも変化する中、新卒採用にあたって何を大切にしていますか?

学生にお届けする情報量と質を大事にしています。

セ―フィーは2023年に新卒採用を開始したこと防犯カメラを扱う会社で学生に馴染みがないことから、学生さんにできるだけ多くのリアルな情報に触れていただけるように心がけています

具体的には、テキストベースでの記事情報と、社員とのコミュニケーションを通じた生身の情報の両方を、できるだけ整理してお届けしています。新卒入社した社員をはじめ、中途入社の社員、インターン生などのインタビュー記事を出しています。

 

社員とのコミュニケーションを通じた生身の情報というところでは、リクルーター 制度を活用しています。人事だけでなく実際の先輩社員からリアルな情報を得た上で、学生に入社したいか判断してもらうために、できるだけ学生が望むキャリアや職種に近い社員との面談機会を設けています。入社までに社員約10名と会う機会があるような設計です。

 

 

Q. 入社までに社員約10名と話すことが出来るんですね...!多数の応募がある中で、履歴書やエントリーシートは、どのような軸で評価をしていますか?

面接時もそうですが、相手に伝えようとする力をすごく気にしています。例えば、「新入生歓迎会をやりました」と「新入生歓迎会を月に1回50人規模で開催しました」だと、相手に伝わるイメージや背景が違いますよね。
 
 「あまり力を入れていなかったのかな...」と安易に推測されないためにも、数値など誰でも理解できる表現を用いて、相手に伝わる書き方・話し方をされる学生さんは、いいなと思います。最近だと、私にとってあまり馴染みのない団体・活動をやっている方が多いため、URLやWebサイトを載せている、背景を分かりやすく簡潔に伝えてくれると嬉しいなと思います。

 

「ガクチカ」は、大学生活の全体像から聞く

Q. 面接時では、どのように「ガクチカ」を聞いていますか?

弊社ならではの問い方かと思うのですが、「ガクチカ」を聞く前に、大学生活の全体像を聞く質問をしています。「全体を10割として、バイトやサークルなど、どのくらいの割合でどのような活動をしていましたか?」という質問をして、1番大きい割合のものから聞いています。学生の緊張も和らぎますし、私としてもどのような活動をどのくらいの熱量で行っていたかわかったり質問がしやすくなるので、全体感を聞くことは毎回行っています。

 

Q. 似たような「ガクチカ」が多いと思いますが、具体的にどのような部分を評価しているのですか?

よく「ガクチカ」として、“アルバイトは評価されにくい”けれど、”留学は評価されやすい”などと思われている方もいますが、正直、経験の大きさや目新しさはあまり気にしていません。

どのような目的でその行動を起こしたのか?を評価しています。例えば、「将来営業をやりたいと思っているので、営業のインターンをした」という場合と、「人と話すことが将来どこでも必要だと思うので、アルバイトで接客業をした」という場合でも、目的から考えた行動という所では一緒です。

具体的な質問は色々ありますが、マストでお聞きしているのは、「その活動に取り組んだ目的」「学んだこと」「大変だったこと」で、3点を総合的に評価しています。

 

Q. なぜその活動に取り組んだ目的を聞くのでしょうか?

その人の行動の始まりの思考回路を知りたいからです。

例を挙げると、同じ会社に入社した2人がいたとします。
「最終的にCHRO(=最高人事責任者)になりたい。そのために必要な経験を積むことが出来そうなこの会社を選んだ。」というように、目的から逆算し、最適な選択を探すタイプなのか、「自分が今まで受けてきた様々な企業の中で、共感できる点が多くあったから、この会社を選んだ。」というように、自分が既に持つ選択肢の中から選ぶタイプなのかで、思考回路は大きく異なりますよね。

どちらが良い悪いという事を判断しているのではなく、その方の思考回路を知ることで大事にしている“軸”を知ることができるので聞くようにしています。

表面的な経歴や経験よりも、セーフィーのビジョン・カルチャーにマッチするかという点がより重要だと考えています。

 

Q. 具体的には、どんな「ガクチカ」を評価しましたか?

 一概には言えないのですが...複数の人を巻き込んで何かをやり遂げた経験があり、そこで出てきた課題と解決策の論理性が整っている方は高く評価しました。

例えば、少人数の団体で、メンバーのモチベーションが下がった際に、一人ひとりに存在意義や課題をヒアリングし、向き合うという解決策を取られた学生さんがいて、問題の解決に繋がる施策を取られている点を高く評価しましたね。

 

志望動機は、「同じ船に乗ってくれそうか?」を見る

Q. 志望動機は、一次面接の時から聞いていますか?

一次面接では志望動機は聞いていません。第一志望群に入れていただいている理由や、IT系ベンチャーを多く志望している理由など、就活の軸を尋ねるようにしています。志望動機を初期面接で作り出してもらうより、終盤になって、魅力を知って頂いた上で志望動機が出来上がるものだと思っているからです。

 

Q. 志望動機を最終面接で聞く際、大事にしていることは何ですか?

  私は人が会社に入る理由の1つとして、「1人では成し遂げられないものに対して、 誰かと一緒に成し遂げたいと思うから」があると考えていて、会社が持つビジョンやミッション、成し遂げたい未来に共感してくれているからこそ、一緒に働く意味があると思っています。今後何年間かは分からないけれど、同じ方向を向いてうちの船に乗ってくれるのか?という意味で、最終面接ではビジョン、ミッションへの共感度をお聞きしています。

 

“思考の変化”を見る理由とは?

Q. 面接時に、こだわってぶつけている質問はありますか?

ご自身の中で考えが変化したことをお聞きしています。

変化の有無を自分で自覚できているか?」「変化を起こすような行動を取れているか?」が大事だと思っています。そもそも自分の行動を振り返って、考えて生きていないと、自分の変化に気づけません。定期的な振り返りをしているのか?を知るために質問しています。

また、経験で得た新しい気づきを教えて頂いたりします。気づきがないというのは、挑戦の幅が狭いとか、思考回路が変わらないレベルの行動しかできていないということで、もったいないと感じますね。

セ―フィーはベンチャー企業ですので、変化に対応し得るかという観点で、変化に対して気づく力や、変化を起こすような行動を取る力、行動の目的などは重要です。

 

ハタチ世代に伝えたいこと

Q. 最後に、就活へ向けて1,2年生のうちからやっておくべきことがあれば教えてください!

「常にそれを考えていることが当たり前」なくらいに、何かに夢中になった経験を、積んでほしいと思います。

ガクチカに書けるというだけではなく、金銭が発生しない状態だからこそ、「自分自身は何を大事にしたいのか?」「何にモチベーションを感じるのか?」「なぜこの経験をしているのか?」など、自分を振り返り、理解する時間となります。

そこで生まれた気づきを就活に置き換えてみると、仮説が立てられるようになります。例えば、夢中になった経験で「自分は周りのメンバーに感謝していて、giveしていきたい人間なんだ」という気づきがあれば、「お客様を大事にする仕事よりも、社内の人間に対してgiveする仕事が合うかもしれない」という仮説が生まれます。

自分がどういう人間なのかを知り、振り返るために、是非一度、夢中になる経験をしてください!

 

編集後記

自分自身がどのような思考回路を辿ることが多いか、考えたことはありますか?それを言語化して、誰かに伝えることはできますか?

行動や選択を客観的に振り返ってみることは、「自分がどういう人間で、何を大事にしたいのか」を理解できるだけでなく、思考や行動のクセに気づけたり、就活や今後の人生における仮説を立てて次のアクションに繋げられたりと、より自分らしい選択につながるはずです。

考えの変化や新しい気づきがない場合は、自分の心地よいゾーンから抜け出すような行動ができていない、という捉え方にも、ハッとさせられました。まずは自分の思考や価値観を認知し、言語化するところから、習慣に取り入れていきましょう!