MENU
「さよなら就活対策」
「貴重な大学生活を“就活対策”で消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す“面接官の告白”。
今回お話を伺った東洋製罐グループは、100年以上の歴史を持つ世界でも有数の総合容器メーカー。
ジュースの缶やペットボトル、レトルトカレーやシャンプー・リンスのパウチ…。さまざまな包装容器を生み出し、人々の暮らしを支えているBtoBメーカーです。
東洋製罐グループホールディングス株式会社の人材開発室に所属する辻川さんに、「面接で見ているポイント」「大学生活のアドバイス」などを詳しくお伺いしました。
こだわりは、コミュニケーションの「量・質・タイミング」
Q. 東洋製罐グループの採用活動のこだわりを教えてください。
学生さんとお話しさせていただく際は、コミュニケーションの「量・質・タイミング」を、相手に合わせてアレンジするようにしています。
たとえば、初めて説明会でお話しする学生さんと、次に面接を控えている学生さんでは、ほしい情報が異なるはず。そのため、こちらからお伝えする内容も、お渡しする資料も変わってきます。
もちろん、「量・質・タイミング」にはいずれも正解がないため、簡単にできることではないのですが、一人一人と向き合い、寄り添うことを心がけています。結果として学生さんが入社を決意してくださったときには、「その方の人生をサポートできた」と非常に大きなやりがいを感じます。
Q. 相手に寄り添ったコミュニケーションを意識されているんですね!
そうですね。それから、“双方向のコミュニケーション”もとても大切にしています。
たとえば、入社後の職種についてすり合わせをする際にも、こちらから一方的に押し売りするようなことはしません。
ご本人の価値観や長所・短所などを知ったうえで、合う点、あるいは合わない点も含めて率直にお話しします。これは、決して入社がゴールではなく、入社後に伸び伸びと活躍していただくことがとても大切だと考えているためです。
実は、私もこの双方向のコミュニケーションにお世話になったんですよ。
というのも、私は就活生時代に東洋製罐グループを営業職志望で応募していたんですが、当時の採用担当の方と面接や面談を通じてたくさんお話をさせていただく中で、人事としての適性も見出していただき、最終的には自ら人事職の希望を出しました。
今ではこの決断に一切後悔はなく、むしろ人事職を希望して良かったと思えるほど恵まれた環境で仕事ができています。
この経験も踏まえて、評価するためのコミュニケーションではなく、理解を深めるための双方向コミュニケーションを心がけています。
選考フローと評価ポイント
Q. 選考フローを教えてください。
選考フローは、技術系職と事務系職で少し異なります。技術系だと、書類選考・適性検査→個別面接(複数回)。事務系は、録画面接・適性検査→書類選考→個別面接(複数回)という流れです。
録画面接では「第一印象」が大事!
Q. 事務系職種の選考にある「録画面接」では、どんなポイントを見ているのですか?
定性的ですが、“初対面の印象”ですね。
たとえば、かなりの逆光で表情も分からないような動画などは、残念ながらお見送りになります。「他者から自分がどう見えるか」という点に気を配れるかどうかは、大事なことですよね。
さらに踏み込んで裏側をお伝えすると、動画の印象は主観に偏らないよう適性検査の結果とあわせて見ています。これは私も人事になってから知ってびっくりしたんですが、動画の印象と適性検査の結果は比例する傾向にあるため、比較して検討しています。
なので、適性検査で似たような内容の質問が列挙されていてうんざりする方もいらっしゃるかと思いますが、辛抱強く真面目に答えていただいた方が実は良いです(笑)
採用するのは、未来の幹部候補生
Q. 個別面接では、どのような点を評価していますか?
そもそもなぜ採用活動をするのか?という根本的な話になりますが、私たちは“未来の東洋製罐グループを担う幹部候補生”に入社してもらいたいと思っています。そのため、将来的にプレイヤーとしての活躍だけではなく、マネージャークラスとしてご活躍いただける素養や適性があるかどうかといったポテンシャルを評価しています。
裏返すと、ただ人数が欲しいとか、誰でも来てください、といったスタンスではないんですよね。なので、面接には人事だけではなく、部長や役員も参加して学生さんとお話しています。
ただ、もちろん壮大な物語ばかりを学生さんに求めているわけではありません。たとえば、企業理念や事業内容への共感や、入社してこんなことをやってみたい、こんな価値を発揮できるという熱意やポテンシャルを持っている方に入社して欲しいので、そこを一貫して伺っています。
Q. 具体的には、どのようなポイントを見ているのでしょうか。
「入社後やってみたいことや、どのように価値が発揮できるのかといった自己アピール」に加え、「チームとして働くことができるか」という点をとても重視しています。
前者は、自身の過去の経験から自己理解を深めている前提で、どのように社内で価値を発揮したいと考えているのか、直接的な表現をするのであれば、東洋製罐グループがその学生さんを採用するメリットについてのアピールをしていただきたいと考えています。
後者は、東洋製罐グループの社風とも紐づくのですが、部署内はもちろんのこと、部署外、あるいは社外の方など…誰とも話さない日はないくらい、さまざまな人たちと協働しながら仕事を進めていくため、「入社後に周囲と協力して働けそうか」といった観点で見ています。
合う例・合わない例
Q. どのような学生が評価されますか?
チームの中で役割を見つけて、自ら価値を生み出すことができる方ですね。役割は問いませんし、リーダーでなければいけないというわけでもありません。そのチームにとって必要とされる存在になれるかどうか、最近流行りのAIに代替されない存在になれるかどうか、と言いますか。人と人が協働することで生み出せる価値があると考えています。
ただ、それを面接で見抜くのはとても難しいので、ストレートに質問することもあります。「誰かと協働して取り組んだことは何ですか?」「どのような役割で、どのような価値を発揮しましたか?」など。
この質問で伺いたいのは、結果の大小ではなくプロセスなので、その方なりの思考や工夫、主体的に動いて価値を生み出したことが伝わるエピソードは好印象にうつりますね。
Q. 逆に、合わないと感じるケースはありますか?
そうですね…挨拶や言葉づかいなどの常識的なところや、相手からの見られ方を意識できない人は難しいと思います。
やはり人と接することが多い仕事ですし、何事もチームで進めていくので。たとえば少しトゲのある物言いだったり、攻撃的なスタンスが出てしまう方は合わないですね。
Q. 表現の仕方は大事ですよね。ちなみに、周りと異なる意見を言うことは問題ないのでしょうか?
当然問題ないです!出る杭が打たれるような会社では全くなく、むしろ若手からも意見の発信をしたり、相談できる社風ですので、発言はどんどんしてもらいたいです。
「常識を持ったうえで、枠からはみ出す」というのがいちばん理想的かもしれません。
志望者に共通する「3つのテーマ」とは?
Q. テーマ・カルチャー・スキルの3つのフィットのうち何を大切にしていますか?
「テーマ」と「カルチャー」のフィットが大事です。
実際に学生さんからは、「持続可能な社会への貢献性」「身近なモノづくりに携わることができること」「価値提供できる領域の幅広さ」といった点から、東洋製罐グループに興味を持ったり、入社を決めたと伺うことが多いです。
残りの「スキル」については、入社後の研修や実務を通じていかようにでも身に付けていただける環境・福利厚生が整っていますので、やはりその原動力となる「テーマ」や「カルチャー」が大切と断言できますね。
ハタチ世代へのメッセージ
Q.最後に、学生に向けて大学生活のアドバイスをお願いします。
完全に私の持論ですが…「47都道府県制覇」しておくといいと思います!
社会人になると、いろんな出身地の人たちと仕事をすることになります。たとえば、初めましての相手とファーストコンタクトを取る際、小ネタの引き出しは多いに越したことはありません。
単に「同じ出身地ですね」だけではなく、「あそこの○○楽しいですよね」「あのお店の△△美味しいですよね」と言えたら、それだけで「えっ、行ったことあるんですか?」「私も食べてみたいと思ってたんです」ってなりやすいじゃないですか。
特に上の世代の方たちは知識も豊富ですし、地域への関心も強い。1都道府県につき1ネタ持っているといいんじゃないかなと。
お金も時間もかかりますが、学生時代にこそ出来ることだと思いますね。ぜひチャレンジしてみてください!
編集後記
今回のインタビューでは、「他者と働く」ということについて、たくさんのヒントをいただきました。
世の中には個人プレーが中心の仕事もありますが、東洋製罐グループでは何事もチームで取り組みます。
周囲と良好な関係を築き、協働していくために。そして、チームの中で自分の価値を発揮するためには何が大切なのか。ぜひ、辻川さんのお話を参考にしてみてくださいね。