
「さよなら就活対策」
「貴重な大学生活を“就活対策”で消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す“面接官の告白”。
今回お話を伺った株式会社コスモスイニシアは、住まいや街づくり、ホテルやアウトドアリゾートなどを手がける不動産デベロッパーです。
「住まう」「働く」「遊ぶ」という営みを軸に、都市の中で人が「もっと楽しく、もっと安心に」暮らせる場をつくってきました。
今回は、コスモスイニシアの人事担当であるヒョンジさんと春日さんに、新卒採用で大切にしていることや、大学生へのメッセージについて詳しく伺いました。
新卒採用のこだわり
Q. コスモスイニシアの新卒採用で、大切にしているこだわりを教えてください。

ヒョンジさん:まず根底にあるのは、採用の時間が学生さんにとっても「会社選び」ではなく「人生を選ぶ時間」であってほしい、という思いです。
新卒の就活は、学生さんにとって社会人としての一歩を選ぶ場であり「人生の大きな意思決定」ですよね。だからこそ、私たちは、ただ能力やスペックを測る「能力選抜」ではなく、学生さんの「なぜ働くのか」「どんな人生を歩みたいのか」という価値観に、会社として合うかどうかを真剣に考える「価値観のマッチング」を一番に重視しています。
一次面談の人事担当から最終面接の役員まで、全員が同じ目線で向き合っています。求めているのは、同じ釜の飯を食う「仲間」として、お互いさらけ出して、本当に本音で話すこと。一人ひとりの人生に本気で向き合うのは、手間もかかりますし、葛藤も本当に大きい。一人の一次面談から内定までに20回以上面談を重ねることもあるくらいです。
それでも、そうやって泥臭く向き合い続ける姿勢は、学生さんの大きな意思決定を「キャリア支援の時間」にしたいという私たちの覚悟だと思っています。
春日さん:私自身が、就職活動でコスモスイニシアの選考を進める中で、一人の人間として、自分の人生に本気で向き合ってくれる姿勢を強く感じました。だからこそ、採用担当としても対話を重ねる中で見えてくる、その人の人柄や「何を大切にしているのか」というスタンスへのこだわりは強いかもしれません。形式的な志望動機や自己PRといった部分だけではなく、対話を重ねながらその人の本質を見ようと意識しています。
また、採用チームがいつも立ち返っているのは「コスモスイニシアに入社して、幸せになれるだろうか?」という問いです。
最終面接の役員も、判断に迷ったときには必ずこの言葉を口にするほど、採用に携わる全員の合言葉になっています。私たちは「指示通りに動く存在」を探しているわけではなく、違和感があれば問い返し、自分の考えを言葉にできる「仲間」を求めています。
学生さんが自分で選んだ道を、入社後も自分で正解にしていけるかどうか。それを、面談を実施させていただいた全員に対して真剣に問いかけ、向き合わせてもらっています。

選考フローと評価ポイント
Q. 選考フローと評価ポイントを教えてください。
ヒョンジさん:選考フローは、はじめに「説明選考会兼座談会」があり、その後、人事担当による一次面談、人事マネージャーによる二次面談、WEBテスト等を経て、最後に役員面接という流れです。ただし、面談回数がこの通りきっちり5回、というわけではありません。学生さん一人ひとりに合わせて、対話を重ねていきます。
評価の中で現時点の専門性やスキルはあまり見ていません。それよりも重視しているのは「スタンス」です。
特に「自ら考え、行動できる」ことが重要です。コスモスイニシアでは、入社1年目から「この通りにやって」とマニュアルを渡すような仕事の進め方はしていません。何をどう進めるかを、自分で考え、決めていく場面が多いんです。
もうひとつは「人が好きかどうか」。愛情を持って人に接することができるか、という点は外せない点になります。これは一度の面談で判断できるものではありません。採用チームやさまざまな社員と話してもらう中で、立体的に見ていくようにしています。

春日さん:私が一次面談で特に注目しているのは、「何を選び、何を捨てたのか」という点です。自分の体験や今後の展望をといった人生の選択を、自分の言葉で語れているか、その選択に対して誇りを持って語れているかなどから、「自分で選んだ道を正解にしていこうとしているか」が見えてくると思っています。
Q. 過去の学生で、特に印象に残っている方はどんな人ですか?
春日さん:担当させてもらった学生さんみんな素敵なのでとても難しい問いですが、部活動をやり切りたいという思いから2年間休学し、5年間アイスホッケーに打ち込んだ学生さんです。
一般的には「4年で卒業し、院進するか就職する」のが一般的とされる中で、その学生さんは2年間の休学というリスクを取り、時間も労力も、そして自分自身の可能性も、すべてをアイスホッケーに投じ続けました。
周囲の目よりも「自分がどうありたいか」を優先し、その決断に責任を持ってやり遂げる。その自己投資の覚悟と決断にコスモスイニシアらしさを感じました。

よくあるお見送り例
Q. 逆に、お見送りになるのはどのようなケースですか?
ヒョンジさん:よくあるのは、自分がやってきたことに対して、「なぜそれを選んだのか」「自分にとってどんな意味があったのか」を、自分の言葉で語りきれないケースです。深掘りしていくと、「周りがやっていたから」「評価されるから」という理由に行き着くことも少なくありません。
人の評価を気にすること自体は自然なことですが、それが判断軸になってしまうと、環境が変わったときに苦しくなってしまう。部署も人も変わり続ける会社の中では、そこだけに軸を置くのは難しいと感じています。
また、相手の意見を聞くのだけれど、私たちの考えにそのまま乗ってしまうタイプの学生さんも、お見送りになることがあります。探しているのは「仲間」であり、「言われた通りに動くメンバー」を求めているわけではありません。違和感があれば問い返したり、自分の考えを言葉にできるかどうかを大切にしています。

重視しているフィット
Q.3Fit( テーマフィット・カルチャーフィット・スキルフィット)の切り口では、特にどれを重視して採用していますか?

ヒョンジさん:一番重視しているのは、やはりカルチャーフィットです。その人が大切にしている「価値観やスタンスが、コスモスイニシアの風土と「合うか」ここがいちばん大きなポイントですね。
実際、「最初は他業界志望だった」という学生さんも少なくありません。それでも、対話を重ねる中で私たちのカルチャーに共感して、「ここで働きたい」と決めるケースは多いです。
やりたいことが不動産やデベロッパーと重なっていたら、もちろんうれしいですが、評価基準には一切入っていません。不動産やデベロッパーの中にも仕事はたくさんありますし、組織で働く以上、必ずしも「やりたいこと」だけを続けられるわけではないからです。特に新卒の場合、最初から専門スキルがあるわけでもありません。
私たちが目指しているのは、不動産・デベロッパーのプロであることはもちろん、課題に向き合い、自分で考え、周囲を巻き込みながら価値を生み出していける人です。それは、コスモスイニシアで働く時間だけの話ではありません。その先の人生においても、自分で道を切り拓き、自走していける人であってほしい、という思いがあります。
だからこそ、必ずしも「やりたいこと」が不動産・デベロッパーである必要はない。それよりも、「どんな自分でありたいか」「どんな価値観を大切にして生きていきたいか」という点を重視しています。
その軸を持っていれば、どんな仕事に向き合うときでも、自分なりに意味づけができる。その“意味づけができるかどうか”は、とても大切にしているポイントですね。

春日さん:私はよく、「この人を応援したいと思えるかどうか」という目線でも学生さんを見ています。入社してから、まわりの人に愛されながら成長していけるかどうか、という点ですね。
コスモスイニシアの仕事は、人と向き合うことの連続です。だからこそ、能力の高さだけではなく、そもそも人が好きかどうか、そして周囲に愛される人間的魅力があるかを、とても丁寧に見ています。
ハタチ世代へのメッセージ

Q. 大学生のうちにやっておくべきこと、就活準備として大切なことを教えてください。
ヒョンジさん:正直に言うと、「これをやっておいたほうがいい」という就活対策は、特にありません。大学は、社会人になるための準備期間ではないと思っていて。だから、就活に有利になりそうな活動を探すよりも、今の自分の人生にとことん没頭してほしいです。
たとえば私自身、学生時代はダンスサークルに所属していて、当時としては珍しく、2回生のときにリーダーをやらせてもらいました。正直、うまくできたかと言われると全然自信はない。でも、「こういう公演をつくりたい」「こういう組織にしたい」という思いに、真正面から没頭した経験でした。
その後、休学して起業にも挑戦しました。成功のビジョンが見えていたわけでもなく、怖さのほうが大きかったですが、それでも「今やらなかったら後悔する」と思って、もがきながら没頭していました。結果的にうまくいったとは言えませんが、振り返ると、その経験すべてが今につながっています。
うまくいくかどうかよりも、飛びついて、苦しんで、失敗すること自体に価値がある。学生だから、社会人だからと区切らずに、「今やりたい」と思うことに、今の自分なりに全力で向き合ってほしいですね。
春日さん:私も、今やりたいことに、とことん向き合ってほしいなと思います。それは部活でも、友達との時間でも、旅でもいい。大学生だからこそできる経験を、ちゃんとやり切ってほしいです。
もし自分が学生時代に戻れるなら、バックパッカーのように、自分の当たり前が通用しない環境に身を置いてみたいですね。価値観の違う人と出会ったり、しんどい状況を経験したりすることで、「自分とは違う考え方」を受け止める幅が広がると思っています。
その“受容のキャパ”は、社会に出てから人と向き合うときに、必ず生きてくるもの。変化を怖がらず、自分自身をストレッチさせる経験を、ぜひ学生のうちに重ねてほしいなと思います。

編集後記
今回のインタビューを通して感じたのは、面接とは「評価される場」ではなく、「価値観をすり合わせる場」なのだということ。
成果の大小よりも、どんな意思決定をしてきたのか。そして、その選択に自分なりの意味を見出してきたのか。
就活の正解を探すよりも、いまの自分が何に没頭しているのか。その積み重ねこそが、結果的に面接で語る言葉になるのかもしれません。




