
MENU
さよなら、就活対策
「貴重な大学生活を“就活対策”で消耗していませんか?」
誰も教えてくれない「面接の裏側」を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白"。
今回取材した株式会社クボタは、人類の生存に必要不可欠な「食料・水・環境」分野で事業を通じた課題解決に取り組み、世界中の持続可能な生活を支える企業です。
同社の採用担当である有賀さんと岩井さんに、幅広い事業をグローバルに展開するクボタならではの「採用のこだわり」や「面接でのリアルな評価ポイント」を語っていただきました。
グローバル企業・クボタの新卒採用のこだわりとは?
Q. 採用において、特にこだわっていることを教えてください。

有賀さん:入社後のミスマッチやギャップを防ぐということを、とにかく重視してコミュニケーションを取っています。端的に言うと、「嘘をつかない」ということですね。
弊社は、農業機械だけでなく、建設機械・産業用エンジンや水道用鉄管・上下水プラントなど、他の機械メーカーと比べても、手掛ける製品・サービスが非常に幅広いのが特徴です。それに伴い、配属先の種類もとても幅広いです。
クボタという会社のイメージに惹かれて入社してくれたはいいものの、存在を知らなかった職種に配属されてしまったり、希望職種と大きく異なる職種に配属されてしまうと、リアリティギャップが生まれてしまいます。
それを防ぐために、一部の職種では「職種別コース」を設けていますし、コミュニケーションの中で学生にはまず、「社内にどんな仕事の選択肢があるか」を知ってもらった上で、「その仕事で、どんなバックグラウンドを持つ方が、どういう風に活躍しているのか」を丁寧に伝えるようにしています。

Q. 採用ホームページに「クボタを企業研究する」ページや、20名以上の「社員インタビュー」ページもありますが、仕事の選択肢のイメージを深めてもらうために、工夫していることはありますか?
岩井さん:特に力を入れているのが「座談会」です。技術系・文系それぞれの職種ごとにリクルーター(現役社員)を招き、直接話を聞いていただく機会を設けています。文系だけで約100名、全体では500名以上のリクルーターが協力してくれています。
理系学生については、専攻に合わせた配属になることが多いので、機械系、情報系、電子系など、専攻ごとに開催を分け、各専攻に関連する職種を詳しく知っていただく機会を設けています。
ちなみに、リクルーターの皆さんには、座談会でこういうことを喋ってくださいっていうことを、一切お願いしていないです。「ご自身の主観のまま、正直に話してください」とお伝えしています。例えば、会社の寮の住み心地なども、本音で伝えてもらいたいですし、嘘をつかない誠実なスタンスは大事にしていますね。
面接では「完璧な回答」より「筋の通った会話」を評価

Q. 選考の入り口であるエントリーシートでは、どんな点を見ていますか?
有賀さん:エントリーシートではいくつか項目があるのですが、私が重視しているのは「チームで取り組んだ目標達成の経験」ですね。
ただ、「チームで活動していた」という事実というよりも、その手前にある「目標設定」、特に「自分1人で達成できない目標を立てたか」というところは必ず見るようにしていますね。何か大きな目標を達成したということであれば、結果的に一人ではなく、誰かを巻き込んでチームで活動していたはずですから。
岩井さん:エントリーシートを読んでいて「こういったことをしました」と、事実ベースの説明で止まっている方が一定いらっしゃる中で、「行動に至った思いや価値観まで伝わるか」という所は注目しています。
事実だけでなく、なぜそういった行動を起こしたのか、どんな思いを持ってそういった活動をされたのかまで表現いただけると、その方らしさが見えると感じます。
Q. 面接では、どんな点を見ていますか?

有賀さん:私たちの面接は、学生から「独特」と言ってもらうこともあるのですが、「決まった質問に答える」という形式ではなく、エントリーシートに書いてもらった内容を元に、会話ベースで深掘りをするスタイルをとっています。
評価ポイントとしては、「この面接の場が、コミュニケーションの場として成立しているか」が、1番大事かなと思います。
面接官が本当に聞きたいことを捉えようとすることもそうですし、相手が理解できるように論理的に話していただけると、コミュニケーションが成立していると感じますね。
逆に言えば、会話の中で、「さっきこのようにおっしゃっていましたが、今のお話と矛盾しませんか?」ということが起きてしまうと、ポジティブな評価にはなりづらいですね。
Q. 海外で働く可能性もある中で、「語学力」は選考で重視されていますか?
有賀さん:あまり重視していないですね。高い語学力や資格があれば、少しだけ有利にはなるかもしれませんが、基本は入社後に身につけていただけたら良いと考えています。
また、新卒の方を配属する際は、スキルだけを理由に配属を決めることはありません。
「この方はTOEICの点数がそこまで高くないが、海外営業で活躍できそうだから、入社後に英語学習を頑張ってもらおう」「この方はTOEIC900点を超えているけれど、海外営業ではなく別の場所で活躍するイメージだな」という風に、一人ひとりの適性と希望を踏まえて判断をしていきますので、スキルだけを大きく評価することはありませんね。
Q. 志望動機では、どんな点を特に重視していますか?
有賀さん:「他に受けている企業との整合性が取れているか」、つまり就活における軸の整合性を確認するための1つの観点として、志望動機をお聞きすることはあります。
ただ、志望動機を特別に重視しているということはなく、あくまで確認のために伺っていますね。
Q. 面接をしている中で「惜しいな…」と感じる学生の共通点はありますか?
有賀さん:面接の受けっぷりとしては完璧なんですが、明らかに準備してきた回答だけで終わった、という感じの学生ですね。
準備はしてきてくれたんでしょうけど、私たちとしては「完璧な回答を準備できる人」という評価に留まってしまいます。その方が何に興味があり、どんな思いを持っているのか、などの情報は残らないため、正直ポジティブな評価にはなりにくいですね。
「受けない理由を語れるか」も評価のカギ
Q. これまで面接してきた学生の中で、印象に残っているエピソードはありますか?
有賀さん:過去に、海外のあるエリアを担当することを強く希望して面接に臨んだ学生がいらっしゃいました。
志望動機の整合性を確認しようと、他にどんな会社を受けているか聞いたんです。「大手自動車メーカーのB社、C社を受けています」とのことでしたが、自動車業界の中でも代表的なA社は受けていらっしゃらなかったんです。「なぜA社は受けていないのか」と聞いたところ、
「このエリアの農村に貢献できるか?という軸で考えた際に、今受けているC社は、2輪車などを通じて確実に貢献できる。ただ、私が貢献したいエリアでは経済状況的に4輪車を買うような人はいない。だから4輪車しか作っていないA社に入社しても、そのエリアへの貢献が難しいと考えている。だから私は受けていない」と。
なるほど、と思いました。
また、面接の中で「B社はこの点で少し軸とずれていると思っているんですが…」と、軸との整合性を取れていないことを、ご自身でも感じた上で回答されていたんですね。
常に完全な一貫性を求めているわけではなくて、自分の想いを軸に、客観的に選択肢を整理しようとされている方は、会話していて違和感を感じることなく、コミュニケーションが成立するなと感じます。

岩井さん:私も、話に整合性や一貫性がある方は、高い評価をつけています。
私たちは1日10名以上を面接することもありますが、全ての面接終了後に強く印象に残る方は、過去の経験から、今の就職活動の動き方、これからやっていきたいこと、全てに対して一貫した軸を持って活動されている方が多いですね。
有賀さん:別の例でいうと、明らかに大学生活で遊びとバイトしかしていないような学生さんだったんですが、その方は正直に「ガクチカのために留学しました」って言ってくれて。その上で、留学経験からの気づきや、バイト経験での気づきを自分の言葉で説明されていて、私としては高く評価しましたね。
「どれだけすごい経験をしたか」でなく、「経験からの学びを自分のものとして言語化できているか」は一つの評価ポイントだと思います。

最も重視するのは、カルチャーフィット

Q. 学生と企業のマッチングを測る「3つのFIT」について、クボタとしての優先順位を教えてください。
岩井さん:カルチャーフィットの優先度が最も高いですね。
有賀さん:入社の決め手として、「選考過程で出会った先輩社員に対し、こんな人と働きたい、と思ったから」というのを、第一の理由にしていただきたいなと思っています。だからこそ、現役社員と接点を持つことができる座談会を採用活動の中心に据えているんですよね。
また、座談会後のアンケートにも「理念に向かって、使命感を持って働いている先輩の姿がかっこいいと思った」という感想が多く残っています。
現役社員や面接官と直接話してもらう中で、テーマフィット、つまり会社の理念や事業を通して提供している価値への共感にも繋がっているのかなと思います。
ハタチ世代へのメッセージ
Q. 最後に、学生・就活生に向けて、メッセージをお願いします!

岩井さん:自由に時間を使えるのは学生の特権だと思うので、今しかできないことへチャレンジして、学生生活を楽しんでいただきたいなと思っています。
また、入社してからは、お客様だけでなく、社外・社内の色々な方と関わりながらお仕事をしていきます。大学生活においても、例えば留学先で多様な価値観を持った方と関わる経験や、サークルや部活などを通じて新しく出会う方とコミュニケーションを取る経験などは、特に大事にしてほしいですね。
有賀さん:思う存分、行動してみてほしいです。たくさん動いた先に、どうしたら自分が満足できるのか、どういった要素があると楽しい人生を過ごしていけるのか、自分にとって大切な要素のヒントが得られます。
その要素がわかると、「仕事を通じて、自分が求める要素を提供してくれる会社はどこなのか?」を考えやすくなります。ぜひ、行動した経験から、自己理解を深めていってください。

編集後記
AIを活用した面接が導入されるなど、採用のデジタル化が加速する中で、クボタでは、学生一人ひとりとの対話を大事にされており、数多くの「働く」選択肢や、そこでの泥臭さも含めた現役社員の本音をオープンに伝えていらっしゃいます。
その背景にあるのは、「入社後にギャップを感じることなく、その人らしさを活かして活躍してほしい」という誠実な願いだと感じました。
だからこそ、皆さんも「ボロが出ないように、完璧に繕った」状態ではなく、「自分の言葉で、想いを堂々と語れる」ありのままの状態で臨んでみてほしい。
そのためのヒントは、就活対策の先にはありません。
日々の「楽しい」「達成感がある」「嬉しい」と感じた瞬間を、逃さないこと。その感覚を積み重ね、言葉にしていくことで、やがて自分の軸になっていきます。
この記事が、自分の軸を見つけ、ありのままで就活を進めるきっかけになれたら嬉しいです。
取材・文:ハタチのトビラ編集部




