ColumnColumn

文系でもIT業界で活躍できる?面接官が語る就活のキホン

  2020.04.01

『さよなら、就活対策』

「貴重な4年間を“就活対策”で、消耗していませんか?」
誰も教えてくれない 「面接の裏側」 を紐解き、これからの大学生活を問い直す "面接官の告白" 

今回は、文系出身者でもSEを積極的に採用している「富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ・採用広報センター」の濱崎さんと高橋さんに、就活の裏側を語っていただきました。漠然とやりたいことがわからない、IT系企業やSEに興味がある 興味のある学生の方は、是非参考にしてみてください。

会社プロフィール :1972年創設の「富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(以下 富士通SSL)」。富士通グループならではの最先端の技術力で、流通業界、通信系、金融系、教育系、公共事業など幅広い業界を支援している。お客様に喜ばれるサービスを提供するためには、「社員一人ひとりが楽しく夢を持って働くこと」をモットーに、働き方改革を推進し、社員に寄り添う教育支援を続けている。
※株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリは、2021年4月1日に富士通に統合されました。
面接官 濱崎由紀さん:事務職として富士通SSLに入社。約10年、事務職を経験した後、産休に入る。その後、総務部、広報部とキャリアを重ね、社内や社外広報を担当する。社員満足度を向上させるためにはブランディング力が鍵と考え、誰もが会社のファンになれるようにと、採用・広報センター部長として、社員や学生達一人ひとりと向き合っている。
面接官 高橋浩也さん:SEとして富士通SSLに入社。4年半、現場で経験を重ねる。その後、現場の意見を反映させた人材育成を目指し、教育部門へ異動する。「内定者・新人研修」「入社2、3年目の技術研修」などを通して「学生と会社とのミスマッチは採用時に気付けるのでは?」と疑問を抱き、自ら志願し、86年前から採用広報センターの主幹エキスパートとして活躍している。

 

就活において大切なこと

Q. 就活の仕組みも変化する中、面接官として何を大切にしていますか?

「適性を見極めること」を大切にしています。入社後に、「こんなはずではなかった」と思わないように、お互いのミスマッチを防ぐためにも・・・。たとえ、弊社ではなくても学生の適職を見つけてあげたいと願っています。

そのために、学生の強みや学生らしさをできるだけ見つけられるように掘り下げて質問をしています。実際、弊社に合う、合わない、SEに向いているか、向いてないかなど、良くも悪くも適性がわかる学生は、自己理解が進んでいると感じます。こちらの質問に対して、きちんとした返答がありますし、入社したときの成長速度もイメージしやすいですね。

 

Q. 面接官として、SEを採用するにあたって拘りのようなものはありますか?

SEは、役割が広くつかみどころのない職種です。「コミュニケーション能力」「ITスキル」「忍耐力」「問題解決能力」「お客様への対応力」「マネジメント力」など、世の中で必要なスキルが凝縮された仕事です。

でも、そんなことがすべてできる社員はいませんよね。だからこそ、複数の社員が協力し合い、チームで仕事を進めれば良いのです。そのために、SEとして活かせるものはないか、何か光るものはないか、学生の強みを探しながら面接しています。

 

文系でもIT業界で活躍できる?

Q. 学生の強みを活かせれば「文系」でも良いのですか?

文系であっても、業界を勉強するためにIT系の資格を取得したなど、弊社のために何かしら努力をした学生は高評価になりますね。もちろん、理系・情報系で学んだITスキルが、直接仕事に発揮できれば貴重な人材と言えますが・・・。ただ、スキルが高くても、仕事ができるとは限りません。

開発現場からは「技術力があって、コミュニケーション能力が高い人を採用してほしい」とよくリクエストされます。要するに、技術力とコミュニケーション能力はセットです。どの会社も同じだと思いますが、コミュニケーション能力は前提条件ですね。

 

Q. SEとしてのコミュニケーション能力とは?

相手の顔を見て話せない、挨拶ができない、時間や約束を守らないなど、そういった基本的なところはこちらではフォローできないので、最低限のコミュニケーション能力です。

あとは、システム構築などを請け負う場合、お客様からのニーズを聞かなければいけないので・・・。お客様の気持ちを汲んで会話できるか、無理難題をお客様から言われても自分の気持ちをコントロールできるかなど、臨機応変な対応力が必要になります。

 

「ガクチカ」は、結果 < プロセス

Q. よくいわれる「ガクチカ」について、どのように評価していますか?

毎日、家と大学の往復で終わるという学生は、なかなかいないはずなので、何かしら語れるものはあるはずです。

社会に出れば大変なことはたくさんありますが、学生時代に大変なことをどう乗り越えたのかというところに注目しています。

ガクチカがない場合でも、高校や中学までさかのぼって、受験勉強や部活について話すと良いと思いますよ。どのような努力をして進学したのか、苦手な科目をどう克服したのかなど、自分が費やした時間について具体的に話せれば大丈夫です。無理矢理、苦労話を作る必要はありません。

 

Q. 過去に、どんなガクチカを高評価にしましたか?

海外留学のガクチカですね。社会に出て成長するためには「できないこと」「わからないこと」に気づき、それらを克服するために自ら行動したり工夫したりする力が必要です。

自分だけではできない仕事であっても、他人やチームの中で活躍できれば、より大きな貢献ができる人材になります。

「できないことをできるように工夫する」「わからないことがわかるように勉強する」という機会が多いガクチカといえば、海外留学が多いのかなと…。成功しても失敗しても、その結果にたどり着くまでのプロセスを重視しています。

他人に支えられながらでも良いので、自ら行動したり工夫したりしたガクチカを評価していますよ。

それでも、ごくごくまれにですが、「ガクチカが何もない」という学生がいます。このような場合、人と接する社会性が見えず不安になるので、採用には厳しくなりますね。

志望動機は業界で働く理由が大切

Q. 志望動機はどのように評価していますか?

業界に対する志望動機は必要です。ただ、会社ごとの志望動機は必要ないですね。会社に頼らなくても、学生にはどこでも通用するレベルに成長してほしいと考えているので…。

IT業界は、どのような仕事で、どのようなスキルが必要なのか、そのスキルがあるのか、スキルがないならそのスキルを取得するための努力ができるか、そこまで見極めたうえで志望動機を考えてくれると嬉しいです。

弊社では文系でもOKですが、「SEとは何か」「プログラミングはどういうことなのか」という予備知識は必要です。最低50時間程度でしょうか・・・。これくらい勉強するとSEの入り口「ITパスポート」という資格を取得できるレベルになりますよ。

 

ハタチ世代へのアドバイス

Q. 大学1年生や2年生を含めて、学生時代にやっておくべきことは?

濱崎さん:自分の行動範囲を超えた人達との出会いを大切にしてほしいですね。ヒッチハイクするのも良いのではないでしょうか?(笑)

自分を良く見せようと、いくら着飾っても・・・。就活や面接では見抜かれてしまいます。だとすれば、着飾るのはやめて、素の自分を磨くために何でもチャレンジすれば良いと思います。

高橋さん:私自身のことを話すと、海外留学を経験しておけば良かったと思います。海外へ行くと、いかに自分たちの暮らしが豊かで、恵まれているのかが分かります。経済格差を感じたり、国際感覚を身につけたりするのも大切ですね。

SEは、進化スピードが速く、最新情報にアンテナを張り、常に勉強していく姿勢が必要ですから、いつでも挑戦し続けるサバイバル精神を学生のうちに養ってほしいです。

 

編集後記

適正診断に頼っても納得いくキャリアがみえてこないのは「“自己理解” と “業界理解”が進んでいないから」ということがお2人の言葉から伝わってきたのではないでしょうか?

そもそも、”業界理解”が進んでいても、自己理解が深まっていないと選択肢を選べません。反対に、自己理解が深まっていても、選択肢である業界を理解していないと何に向いていて、何に向いていないのかはわかりません。

是非、就活前に、”自己理解” と “業界理解”を深める経験へと踏み出してみましょう。